ヴァイオレット/ハクメイ/ダーリン/魔法使いの嫁

●新番組・ヴァイオレット・エヴァーガーデン異世界ものに該当する作品だろうか。技術状況や風俗見ると、こっちで言うところの大戦間期っぽいね。主人公のヴァイオレットさんは、戦争によって両腕義手となった戦闘しか知らない元軍人さんですか。命令絶対遵守ではあるが人格的にはあまりにもの知らず。かつての上官の最後の言葉「愛している」ってのがどうにも判らず、その辺を理解するためにも民間郵便会社の代書屋さんとして働くことになる…という感じで合ってる?

京アニらしく凄まじい画面構築具合で、神は細部に宿るの言葉をそのまんま出力したような出来上がりは相変わらず「いやそこまでする必要あるか…?」という疑念すら覚える。なんちうか、この会社は(それが身上なんだからしょうがないけど)エエトコで手を打つとか引き算とかいう概念を破棄してるよなあ。そして絵的にはクソ足し算なのだが演出や脚本は上手いこと引き算してて、この第1話でも、普通ならあるべきカットや展開をバシバシ捨象してるけどちゃんと成立してる。「間合いと状況説明を両立する」上で効果的ではあるが、匙加減間違うと単なるワケ判らんアニメになっちゃうとこだ。上手い。

「兵器」とか「自動人形」とか、いかにも無機物な呼び名の存在なのにそれぞれちゃんと人間であるのはそういう主題だからだろうな。あと兵器としてのヴァイオレットさんが両腕を失ったのは「arm」のシャレと考えてよろしいでしょうか。うんまあいいや、とりあえずつきあってみよう。めんどくさくなったら切る。

●新番組・ハクメイとミコチ小人さんのスライスオブライフですな。昔っから「だれも知らない小さな国」が好きだったのでこういうのにはちと弱い。それが生活描写を根っことする作品ならなおさら。それでも作風に合う合わんはあるけれど、これは悪くないなあ。多分フィルタか何かの後処理だろうけど主線のちょっとカスれた感じも良い。主人公たちのデザインと色彩設計は、マンガ原作らしいあとちょっとこなれてない感じが残るけど、これはまあ個人の主観的問題。

Aパートのスローライフ的な話はなんかちょっとせせこましい感じがして、折角の語り起こしだからもっと間延びするくらいの余裕があったほうが私好みだなーと思ったけど、Bパートのちっちゃいもの港町パートになったら俄然しっくりきた。ちまちまと込み合って異種族異性物取り乱れたコミュニティという個人的なフェチのストライクってのもあるけど、一種乱雑な町の様相にはこのくらいのテンポが合っている。楽しい。

うん、いいんじゃないでしょうか。この世界で一体どんな現象があり、物事が起きるのか見てみたいって気になる。継続してみましょう。

●新番組・ダーリン・イン・ザ・フランキス。トリガーでグレンラガンスタッフが多く参加した作品とのことで、確かにその血脈は濃厚に感じられるんだけど、コヤマシゲトのメカのおかげでものすごいスタドラ風味が増している。いや、人物にあんまり銀河美少年的な雰囲気は無いんすけどね。大人と対置される子供、ってのはちょっとそれっぽい…いやあんま関係ないか。

てことでボーイミーツガールインザロボアニメ、って感じの王道な第1話。どうやら才能はありそうだが積極性がイマイチ薄めで巻き込まれっぽい感じの少年、既にして堂々たる風格を持つ人外ハーフな戦闘少女。ここで戸松声のお嬢さんがホンマ、ナチュラルな雰囲気ながらグイッグイ引っ張ってくるので非常にストレスが少ない。少年の方はまだ屈託もわだかまりもあるんだけど、今んとこまあしょうがないかなってとこはあるのでしょうがない。とりあえず、見せ場が多くて緩急のテンポも良い第1話で満足した。…あの同僚少年少女たちが何か不穏ですけどねえ。絶対悲惨なことになるヤツが出てくるんだろうなあ、というどんよりした期待もあったりして。

てことで、このまま来てくれれば面白くなりそうな雰囲気がかなりある…が、ダレてきそうな予感もあるにはあるし、なんとか駆け抜けてくれえと期待しつつ視聴してみよう。うん。

魔法使いの嫁・14話。前回バーサーカーの毛皮かぶされてエライことになったチセさんだけど、これは割とあっさり解決に至る。赤狐になって野山に駆け出そうとしてエリアスに呼び止められた時の「こまるんですか?」という返答がなんかかわいかった。普段のどこか思いつめたような雰囲気が薄れ、同時に動物っぽい無邪気さのある演技になっちょりましたしね。いろいろ縛りの強い生活してるし、たまには野生なことになってもエエんじゃなかろうか。

そのあと再登場のリャナン・シーさんが本編の主題。自分からは迷惑かけず寄り添ってるだけのつもりだった思い人のおっちゃんだけど、そこはサキュバスの眷属、知らんうちに相手の生命を吸い取ってたというワケで。今更どうしようもないことながら、チセさんは最後のよすがにお互いに出会えるようにしたいと思う。…これも何というか、人ならざる流れに介入することになるワケで、「理」に逆らってることではあるんだよな。ラスト、どうやら結構な代償を支払わなきゃならんだろう、ってとこで続くですか。

こういう異種婚姻譚(婚姻じゃないけど)だと、人間からの主観で人外の影響により数奇な運命を…ってのが定番だけど、この場合はリャナン・シーさんが人の理に触れて道を外れてしまった、という関係性なのよね。最終的に彼の家に留まることを選択するリャナさんだけど、本人はそれでいいにせよこれは一種の「呪」に近い気もする。あと何だ、全体的にすごくいい話ながら、リャナさんのあの痴女服のせいでいちいちツッコミたい気分になったりもした。たまにはおとなしめの服に着替えなさい。ぜひ。