ルパン/プラネット

ルパン三世・最終話。アミさんとエンゾさん、それぞれにちゃんと物語を敷きながら「俺たちの泥棒はこれからだ!」とかなり王道にオープンエンドな大団円、と言えるのではなかろうか。今までのルパンの集大成っぽい色合いはずっと濃厚だったけど、レベッカもともかくハリマオのヒロイン…ダイアナだっけ? ここまで拾ってくるとは思わなかった。ちゃんと岡本麻弥だしさあ。検索したらこの作品が(正式な)クリカンルパンのスタートだったんだね。なるほど。ルパンの真の顔は次元五右エ門ですら知らない、という原作ネタを押さえてくるとも思わなかったしな。…あと、エンゾがルパンを指して「ヒーローだ」と評したんだし、折角だからSUPER HEROでも流してくれたらよかったのにな、と思わんでもない。サンバ・テンペラードもいいんだけどね。

●総評。前期から続く青ジャケルパンだけど、前期のイタリアシリーズよりも好みだなあ。イタリアルパンは悪くないけどどこかあと一息って感じだったところへ、バリエーションもあってネタ豊富で、ちと回顧気味なこの作風で提供されると気に入ってしまう。どうも結構な手間がかかって難産だった作品のようだがさもありなん。ダウナーなようででもちょっと未熟、歳相応なとこもあるアミちゃんとか、ルパンと同格と言うふれこみに名前負けもしてないアルベール、そしてキッチリカリスマもあるラスボス(悪人じゃなくて)のエンゾとか、キャラの作りこみも手を抜いてない感じがしてよろしい。…あとは続編だけど、このあとに続けるのは結構ハードル高いだろうな。…小林清志の爺さん、本当にちゃんと仕上げてきてんのは敬服するけどねえ。劇中の次元の台詞がいささかメタ的だと感じたのはあながち邪推でもなかろうて。

てことで、楽しいシリーズでした。いやマジで、次はどうすんだろ。

●プラネット・ウィズ・最終話。龍との対決、その結末。死闘の果てにソウヤさんの味わった大いなる喪失を追体験させられ、その上で「私を憎め」と畳み掛けられても…あんなどうしようもない場所に立たされても、龍に赦しを与えられるソウヤさんが本当に主人公である。そしてその龍に感謝して「やっと言えた」とぽろぽろ泣く銀子さんがいいクライマックスだ。物語には様々な側面がある…それは、確かに、この作品に通低して描かれてきたテーマだったのかもしれない。登場人物みな何かしら、重層性を有していたような気はする。ネズヤ先輩もね。

●総評。勿論カンペキな作品ってワケじゃなくて、ちょっと描写が走り気味で「もうちょっとタメがあってもいいのにな」とか思ったりとかもするんだけど、それを踏まえても独特の魅力があるアニメだったなあと思う。それがこの原作者のカラーであり、それを最大限に生かそうと尽力したスタッフの意図なんだろう。あまり斜に構えず、かといって通俗に堕さず、というエエトコのバランスが妙味ではあった。その上でいちいちなんか引っかかる諸々のネタが、最後まで印象に残る「味付け」になってたわな。白石さんのどっかイタいオバハ…お姉さんぶりとかね。あと音、それぞれの効果音と田中公平の劇伴、ともにすげえ凝っててかっこよかった。こういうとこで印象をアゲてくるのは、ディレクションの勝利ってとこすな。

うん、もっと見たい/終わってほしくない、と思わせてくれる作品だったと思う。それはとても、大事なことでありますよ。面白かった。