正解するカド

正解するカド・最終話。交渉する真道さんと相手のザシュニナ。異方の存在を「びっくりさせる」ってのは低次元の人間にはいささか荷が重過ぎる交渉方針だが、どうやらザシュニナさんはこの世界を学びすぎたようで…感情あるわよねあなた? ってな状態になっている。交渉決裂し想定どおりザシュニナさんが圧倒した、と思てたらカド内部に自動車…自動車!? からの斜め上の展開は確かにびっくりするわこれ! ってなもんである。ヤンホモ相手に寝取られビデオレター! わたしたちけっこんしました! こどもできた! …ううん、なんかすげえ。

この時のザシュニナさんの顔が千両で、向きの異なる「感情」が複雑に合わさった変顔が実に素晴らしい。これは…作画かな。貪欲に情報を求めてその情報に足をすくわれたカタチだが、しかしこれで消えたのはザシュニナのこの次元における断面一つであろうし、首相の言うように「こちらからまた会いに行く」こともできるだろう。異方の恩恵はチャラになったが、少なくともそれが「ある」ことは判った。これからは人類の自力でそちらに向かう…それこそが進歩である、というなんかエエ話で終わってんなこれ。品輪博士はもう行っちゃったみたいですけどね。

●総評。ファーストコンタクトネタに見せかけた怪作であるなあ。序盤中盤でかなりのリソースを傾注して構築した空気感を、クライマックスでわちゃわちゃにしつつオチをつける。これが連載マンガとかなら迷走かもしれんが、多分これは頭からケツまで意図的に構成しやがってこれなのだ。野崎まどという人の作品は相当クセがあると聞いたけど、確かにこのノリで毎度々々意表を突く話書く人ならばそらコアなファンも多いだろうし、また本人は大変だろうと思う。

ワシ自身は「あーこりゃやられた」てなもんで、思ってたのとは違うがこれはこれでひどい(良い)という評価であり、もし野崎まどの作品がまたアニメとなるならばゼヒ見たいと思うのだが、しかし賛否は分かれるだろうなあ。そのくらい、序盤で振り撒いた各要素がすごく上手いこと作ってあったということだ。同時にこのオチに向けての布石もキッチリ打たれているだろうし、これもっぺん見直したらすごく面白いんじゃないかという気もする。ともあれ、今期一番次を楽しみにしてて最後大いに満足…満足? した作品となったのは確か。…たまにこんなアニメがあるから楽しいんよねえ。うん。