舟を編む

舟を編む・10話。血潮の項目がない、と聞き血の気が引く一同。この単語一つが抜けているだけならば段組のアレコレでどうとでもなるが、同様のヌケやミスが無いといえるのか。前回「辞書は完璧なものではない」といみじくも言及されたけれども、だからこそかくなるミスは看過できない。…てことで人海戦術、24万語の項目全ての洗い直しである。うへえ…気が遠くなるよなあ。たぶんこれ、辞書業界では無い話じゃないんだろなあ。

そして弱り目に祟り目泣きっ面に蜂踏んだり蹴ったり、災いってのはお一人様ではいらっしゃらない。松本先生が入院したと聞いて駆けつけるご一統であるが、どうも…その、お言葉に反してどこか元気がないように見受けられる。ベッドの上で用例カードに添えた手の、仕事をしたいという意志と弱々しいシワの同居描写が印象的。さてこの難局を切り抜けねばならない、のだが。

上記の通りかなり切羽詰った状況で、実際苦労も苦難もしてるんだけど、その描かれ方はどこか「先への希望」込みで提示されているように見える。具体的な作業の進捗だけに絞り、その他のゴタゴタが描かれていないからだろうね。だから暗礁に乗り上げているというよりは、完成へ向かっての通過儀礼といった趣がある。ちょっと宗教的な感じもあったりして、ね。…いやあでもマジでこうなったら胃が痛いじゃ済まんだろなあ。描かれてんのは作業風景だけだけど、部長級への報告とかしなきゃならんだろうし…マジメさん、ようやったなあ。ゲー出るわワシなら。