夢の話は誰も聞かない

●夢を見る。男女数人で町を歩いている。雰囲気としては大学の研究室、あるいは部活動の旅行っぽい。自分はその中の一人と少々言葉で行き違いがあったようで、それを見ていた女子の一人に「あれはあなたが良くないよ、ちゃんと説明しないのが悪い」と言われて少々反省している。ふと気付くと履いていたサンダルの鼻緒が切れかけており、どこか適当に店で新しいのを買わなきゃと思う。件の女子の人がよろず屋っぽい店を見つけ、「ここでサンダルかツッカケがあるか見てみよう」と言う。こじんまりと鄙びた店に入るとみやげ物や生活雑貨がちょろちょろあるが、サンダルは見当たらない。店主らしきロンゲ茶髪三十代の男性にサンダルとかありませんかねと聞くと「あるよ。地下6階に」と言う。えっ? 地下6階? 「そう地下6階。こっちからどうぞ」狭い空間に階下への梯子が設えてあり、それで下りる。通過する他の階はそれぞれ別の店のようだ。地下6階に着くと確かにサンダルがあり、ついてきた男性店主に言ってそれを購入する。この店舗内も1階のそれと似て少々古びた雰囲気で、どうもあまり地下6階もある店という感じがしない。そういえば妙だ、壁には窓と引き戸がありなにやら外が明るいぞと気付く。店主が「外に出てみる?」と言うので引き戸をから出てみると、そこは町の一角である。直線ではなく緩やかに曲がっている小道や辻、でこぼこと立ち並んだ家や店は計画的に整地されていない古い町っぽい雰囲気を見せている。まさか地下6階にこんな町があるとは、とびっくりしていると先述の店主が上を指差し、「天井のあの辺見てみな」と言う。見れば二階家の屋根ほどの高さにある天井の一部に、シッカリして新しそうな構造材が見えている。「ね、新しい。この地下の町は10年ほど前にできたものだよ」。つまりここは昭和っぽさを再現した観光的都市区画で、この古臭さも不規則で迷路的な構造も意図的な設計によるものだということだ。「どうだい気に入ったかい」ええそりゃもう。私こういう迷路迷宮的な雰囲気大好きですし、それが都市区画規模であるとなると大興奮ですよ。「そりゃ良かった。小さな町くらいの広さはあるから、あちこち見て回るといい」わあステキ。是非そうします。と感心しているところで目が覚めた。ああ、なんてタイミングで目覚めるの! これからいいとこなのに夢の意地悪! と思ったが、あとから考えてみれば自分の無意識がそれ以上の具体的ワクワクディテイルを思いつかなかったってことかもしれない。まあうーん、しょうがないかあ。