コンクリート/うしおととら/ジョーカーゲーム

コンクリート・レボルティオ〜超人幻想〜THE LAST SONG・9話。世はまさに大予言ブーム。帝国広告によるこのモンドっぽい映画は、ある意図を持って歴史の記憶を世間の人々から虚偽の上書きをしようとしている…いや、それは本当に虚偽なのか? 真実のある面を体現し、それを暴露しているのではなかろうか? 少なくともジローさんには、それまで隠蔽されていた記憶と比べてまだ真実に近い、ように思える。彼自身のめんどくさいめぐり合わせに乗じるように、半導体上に焼きついたクロードの虚像が町を襲う。それは正義の幻影を追い求めるジローさんでもあって…というね。

傍観者、部外者的な立場から超人を救おうとしていたジローさんが、実はその根幹そのものとも言えそうな当事者ぶりであったという、そんな皮肉。上記の通りいろいろめんどくさい人ではあるのだが、それもまあしょうがないところですよねって話である。クライマックス、エクウスが勇者ロボ的に合体して見得を切るという王道なカッコツケシーンがあるんだけど、そのBGMはどこか悲しく重々しい響きがあるのはまあ、そういうことなんだろうな。

帝国のおっさんはいろいろ知っている上であの映画作ったんだろうけど、なりゃこそあのキャスティングがなかなかひどくておもしれえなあ。やたらとむちむち扇情的なエミさんも然りながら、お前天本英世かよという人吉博士の勇姿がすばらしくて笑ってしまった。前髪はそっくりなのな! てことは博士の外見的アイデンティティはあの前髪なのな! うんまあよく判ります。

うしおととら・36話。大怪獣白面を相手に集結し団結するご一統。その筆頭であるうしおさんはしかし、相棒であるとらさんの「死」を見て深く嘆く。がそれも一時、すでに彼と槍のこと、あるいは白面に対する大きな歴史の流れを見たことで、まずはここを踏ん張らねばと立ち上がり、行く。さやさんと日崎のおばはん、学者連中、新旧お役目に坊主ども…とまあ勢ぞろいで相対される白面は、ここを急所と紅煉を呼ぶ。されどその紅煉はヒョウさんと…という話。

ヒョウさんの長い復讐の旅路がここに終わる、とまあそういう流れであり、それに相応しい大舞台ではあったんだけれど、やっぱりちょっと尺が物足りないなあ。Bパート程度で済ませるには情感とタメが不足してて、どうも「ダンドリまとめてお出しされた」って感じが否めない。それは今回ゲストのやさぐれおかーさんについても同様で、もうちょっとだけ「間」があったらもっと違っただろうなと惜しい気持ちでいっぱいではあります。しょうがないんだけどねえ。

あと、なんかついでみたいにシュムナさんが出てきて弱点だかなんだか判んないまま吹っ飛ばされててちょっと笑って、いやもといかわいそうだった。別にムリに出演させてやんなくても良かったんじゃない?

ジョーカー・ゲーム・10話。結城中佐とD機関を探る者、アーロン・プライスさん。彼は様々な手段もて中佐の過去に迫り、ある経歴につきあたる。これこそ謎のD機関の根源なり…とほくそ笑んだ所で、当然と言えば当然ながらトラブルに見舞われ全てを失いかける。しかし、それもこれも全てD機関の掌上でございましたよ、とまあそんなお話。

MI6だのデュークのDだの非凡な孤児だの、すっげえそれっぽい「エサ」の描写が面白い。劇中の結城さんとしては淡々と効率を求めて作成したんだろうが、脚本としてこのスジを捏造すんのは楽しかったやろなーとちょっと思った。あとプライスさんのかわいったらしいヨメはんが出てきた時には「あ、つまりコイツが裏切りの手先なんやな」と身構えてしまったけれど、最後までかわいいお嫁さんのままだったのでちょっとホッとしました。これもレッドヘリングの一種かしらん。

ヨメ役の小清水さんも「ほー、こういうのもイケるんだ」と感心したけれど、有崎子爵のじいや役の島田敏はスタッフロールみるまでちっとも気付かなくてけっこうビックリした。ジジイ声も上手いもんだなあ、ってもう長いこと友蔵さんやってはるんだった。やっぱ声優ってすごいね。