オルフェンズ/おそ松さん

機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ・最終話。鉄華団の「お仕事」とその他の事情について。ギャラルホルンの追撃を振り切り、その上でその政治的な勢力をも弱体化させて彼らは勝利する。しかしどうでしょうね、腐敗している組織とは言えその「重石」が無くなってしまうとなるとその先にあるのは混沌の世界じゃないかって気はする。実際そういう仄めかしも見えますしね。ま、そうなると鉄華団としては却って仕事が増える、とも言えますか。…火星への帰還が2クールくらいになるかもしれんけどさ。

ラストバトルは2組、ミカVSアインとマクギリスVSガエリオ。どちらも見所多かったけれども(かたや思想こなた戦闘、と全く会話が交わらないミカとアインとか)、やっぱキャラとしては後者の印象が深いなあ。齟齬も矛盾もあるだろうがぜェんぶ呑み込んで不敵に進むマッキーと、翻弄されまくって一散に落ちて行くガエリオ。上でも言うたけど、どんなに思いを増幅させて叫んでもそれだけではある種の人には「届かない」んだってこったろうね。そういう噛み合わなさは始終、この作品のテーマでもあったと思う。

…にしても、シノもお嬢さんたちもみんな無事だったのね。これは2期があるからタメたのか、あるいはそういう指向の作品ですよということか。まあこうしてなんだかハッピーっぽい終わり方すればするほど、アインとガエリオのどうしようもない悲劇性は高くなるとも言えるんですがね。

●総評。新しいガンダムってことでどんな切り口なのかなと思ったら、これが意外にも割と小さな範囲でのお話であったという印象。背景には各巨大勢力の縄張り争いというでかい絵図があるものの、物語の視点は終始彼ら鉄華団を中心とした「組同士の抗争」というエリアをそう動かない。その分、一家としての生々しい争いが描けているというのが特徴でしょうか。

そしてキャラの立たせ方がなかなか効果的で、特にミカですねえ。ガンダムの主人公として飛びぬけてアンバランスなお人で、要らんものをそぎ落としすぎた強さというかどこか欠落した怖さというか、しかしそれを否定的に描かず「コイツはこういう人だから」で立たせるというね。最後は片目片腕をバルバトスに持ってかれてしまうという、描きようによってはかなりショッカーなオチなんだけど、ミカさんにとっては「このくらい」っちう認識なんだよねえ。面白いキャラだと思う。

あとはアレだ、ちょっとメタな視点ではあるが、2クール作品としてのリソース配分が割と上手くいってたかなーと思う。派手で盛りだくさんのアクション回ばかりってワケにもいかんのだなってのがよく判る話の展開だったけど、でもそれがそれほど停滞にもなってないのが技量やなと。アクションが難しけりゃ話のインパクトよ、っちうかね。まさかこの未来宇宙でヤクーザの杯リチュアルをやるとはねー…そらおもろいわ。

さて。2期を控えてどういう方向性に行くのか。鉄華団はどちらかというと主人公側だけに受身なので、敵役や状況の方に興味が向くのだけれど…やっぱマクギリスさんの動向でしょうねえ。いや、いいキャラしてると思うよこの人。前半の折り返し地点とは言えまさかここまでのマッキーエンディングだとは思わなかったしさ。この先いろいろ悪役として苦難もあるだろうが、何となく何があっても全部呑み込んで(それこそテメエの破滅や死でさえ)いきそうな、そんな雰囲気がある。…上でシノたちが生きてたって書いたけど、そうなるとひょっとしてガエリオさんが真の仮面キャラとして再登場とかしまへんかね。おもろいと思うけどなあ。

えー、てことで楽しかった。2期も多分見ます。

おそ松さん・最終話。先週のシリアスなシコミに対してどう返してくるのかな…と思ったら開始1分でどうでもよくされた。無視でもナシでもひっくり返しでもなく、「あの30分はまあどうでもいいとして」にしてしまう豪腕に唸ってしまう。そして本編は謎のセンバツ話。多分高校野球なんだろうけど最後までよく判んない「センバツ」競技に参加、そのシチュエーションで際限なしにエスカレートするといういつものヤリクチ。特にラストの意味もクソもない状況における熱すぎる盛り上がり、そしてそれを(またもや)一瞬で無効化してしまうオチへの流れが美しすぎた。素晴らしい。…架空状況で延々とネタをやるという辺り、なんかごっつのコントとか思い出した。ラストの銀河第四の校歌とかね。

あと何だね、地味ーにこれ2クール分の集大成でもあったのね。キャラやシチュエーションや設定など、過去分をちゃんとなぞっている脚本に意外な丁寧さを見る。そういや全く異なる切り口での回想シーンギャグが2度あるのもそういう意図があるんだろうかね。そしてあと個人的に、一人逃げ出したイヤミをレーザで追撃し、その後ムチャクチャ執拗に死体蹴りするネタがすっげえツボに入った。よくあるギャグかもしれんが、ここまで念入りなのは初めて見たかもしれない。…うーん、方向性のひどさといい過剰さといい、総じてすげえ満足度の高い最終話だったんじゃないだろうか。普通に感心したよ。

…にしても、何で警備がケルベロスだったんだろ…。いやこのアニメのパロディに意味求めてもしょうがないけどさ。

●総評。おそ松くんのリメイクと聞いてすごく高い期待をした人ってのはそんなに居なかったんじゃないだろうか。制作陣に銀魂のスタッフがいると聞いたとしても、である。そして蓋を開けてみればこの盛況。いやあ、毎度楽しみだったものこのアニメ。何でもアリで次回何してくるか判らない、ってのは(ちょっと言うたかもしれんが)スペースダンディの楽しさを思い出したりした。あっちはまだどこかでカッコいい要素を持っていた(それは美点でもある)のだが、こっちはもうそんなもん知るか、とばかりの無法地帯。これだけレンジが広ければ、各人合う合わんはあっても何かヒットするだろうし、また作る側も思い切ったことができるだろう。

それにしても、割と純粋なギャグコンテンツで2クール、ここまできっちり引っ張ってきたってのはホンマに偉いなあと思います。見てるこっちは何も考えずゲヒヒと笑ってりゃいいけれど、作る方はこれネタ出しするだけでも一苦労だったんじゃなかろうか。頭が下がりますが下がるだけなのでまた作ってくれるといいと思う。実際2期とかそういう話もチラホラ聞くし、大変この上ないだろうけど、期待はしておきましょう。てことで堪能しました。ありがとうございます。特に遠藤綾