オルフェンズ/おそ松さん/ルパン三世

機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ・24話。鉄華団VSギャラルホルン、というよりは地球勢力の代理戦争の斥候点というべきか。残酷だったりドラマチックだったり大量死だったり、とガンダムシリーズにも激しいバトル描写はいろいろあるが、ここまでドロドロと光の見えない、精神が削れるような持久戦ってのはあまり無いような印象。帰る所はない進むしかない、それが破滅への道でも最善手をとりつつ進むしかない…ってことで、オルガの最終アジテーションは仲間の死が前提のものとなってしまう。メリビットさんは間違っていると思うが、しかしもう言葉は無い。

案の定ボコボコ死んでゆく鉄華団であり、その上眦決したガエリオさんともう人間じゃないアインさんがやってくるので絶体絶命。…だけどこれ、アインさんが市街地にツッコんできたことが鉄華団の勝利条件になりそうだな。それもこれも持ちこたえられれば、でありますけどね。そしてガエリオさんにはマッキーが対面。はあて、どういう会話がなされることやら。

満を持してのボス登場、なグレイズアインさん。あれ、胴体部分はノーマルグレイズがベースでそれに大きな手足を付けた、って感じなのかな。見た目の異形さはそこまででもないが、機敏に…というよりもなんかすげえヌルヌルと襲ってくるのが生理的に怖くて面白かった。マンマシン直結してんなーという怖さというか。

おそ松さん・24話。Aパートはトト子さん、または遠藤綾オンステージ。性格破綻気味なんだけど妙な所で行動力はあるというのはこの作品のデフォルトキャラなんだけど、この人の場合はなまじ外見がかわいいのでそのギャップがウリですわな。とにかく遠藤綾のいろんな演技が楽しめるという、そういう意味でもお得な話。流石野沢那智んとこに居ただけはあります。かなり無茶な経緯で「自分も変わらなきゃ」ってんでやることがシンガポールへの語学留学、ってのが最高に上っ面でとても笑った。こういう絶妙な単語を拾ってくるのが上手いなあ。

そしてラス前ってことでいろいろと意味深な、というかシコミとも変化ともとれるBパート。自分が変わるという意味では更に深化してて、兄弟それぞれが自立しようと動く中でただおそ松だけが背中を向ける、という生々しい描写に特化した話。別の道を歩んでいる兄弟たちが、しかし同じ月を見ているというベタな描写が効果的。…ここまで念を入れて真っ当な演出してるってことはきっと大いにひっくり返してくれるんだろうなあ、ってとこで続く。気になるわあ次回。この作品の今までの傾向を考えると、「このままそこそこエエ話で終わる」というのが逆に最大限の意外性を生み出すのでアリ、ってとこまで目がある。読めぬ。

ルパン三世・最終話。現代に蘇りしダビンチの始末と、レベッカのこれからと、ルパンたちの存在について。それぞれ割と丁寧に話を置きに行っており、見ていてストレスは少ない。歯車とか屋根の上の会話とか、レベッカのシーケンスで何となくカリ城っぽいイメージを持ってきてるのは意図的なんだろうな。意図的と言えば、今回ルパンの顔自体もちょこちょこ変わってる感じがしましてね。原作風だったり大塚風だったり、こういうブレも多分意図的なんだろうね。あの「世界にまぎれて消えて行く」ようなラストを見るだに、ねえ。

●総評。言わずと知れた有名コンテンツをまたもや再構築、というアレである。いろいろ工夫はしていたのだろうがどうもマンネリ感が拭えなかったそれまでの状況を、結構ドラスティックにひっくり返した「峰不二子という名の女」シリーズ…をちょっとだけ(主にキャストで)受けた上で、割と全方位満遍なく満足できるような形でルパンを作りました、ってとこだろうか。いや、風魔一族はともかくとして。うん。

そういう狙いからするとかなり質の高いデキであったと思う。実際、シリーズの完成度としては高いモノがあり、長年ルパンに興味を失ってたワシが毎週楽しみにしてたって段階でもう充分でしょう。強弱のハッキリした描線とか、ちょいと懐かしい感じで悪くない…っつーかあの線で全話やるってのは大変だったんじゃないかしら。個人のイラストならともかくねえ、と「ピンポン」の時に思った感想をここでも思ったりする。

だからこっから先は単なるワシの好みってだけなのだが、そうねえ、もうちょっとだけどこかにカスれたようなドライさがあるともっと良かったなあ、と思った。そういう意味では上記「峰不二子」の第1話がほぼ完璧だったんだよね。シリーズ進むにつれて作家性が前面に出すぎてちと辛かったシリーズだけど。…どうなんだろうなあ、大野雄二の旋律に大して過剰な「2期ルパンの刷り込み」ができちゃってんのかなワシ。ま、以上はあくまで個人の嗜好ってことで。

このままルパンというハコを終わらせるつもりもないだろうし、また何らかの形でこんな感じのウェルメイドな作品を期待してみたいと思う。イタリア縛りも悪くないが、やっぱ全世界をまたにかけて、ってのもルパンの身上だしねえ。