おそ松さん/ルパン三世

おそ松さん・20話。アバンはハタ坊と謎のお肉。…しばらくして気付いたが、これって「彼にとって友達かどうか」が分水嶺ってことなんだね。怖いねお肉。というそんな話の後は昭和の不良コントでご一席。しょーもないレベルのネタで笑い取っといて、次第にエスカレートしつつワケの判らんオチを付ける、というこのアニメ王道のパターン。あと各人の不良演技がことさら面白く、何度も言った気がするが特に櫻井さんとか他の作品でぜってェやらねェバカ演技してて楽しそう。収録風景が見てみたい。

さて後半はイヤミさんのお笑い教室であるが…。何でしょうねこの…思い付きや一朝一夕ではひねり出せないようなえぐってくる台詞の数々は。そしてそのえぐる対象ってのが、視聴者というよりはギョーカイとそれに付随するファン層、もうちょっと言えば自分たち制作側も含めた集団であるというこの図式。六つ子の世迷い事、イヤミの切って捨てるような指導、どれもこれも脚本の魂がこもってそうな重っ苦しい台詞群。もともとお笑い色が強い脚本陣だし、これは(ある程度の刈り込みやギャグ化も当然あるだろうが)実体験に基づくネタなんだろうなあ。「実績を伴わない楽屋番長」とか、そんな単語普通は出てきませんわ。

オチが「理論が完璧でも実践できないと意味ねーよな」ってのだけど、前段階としての「理論」を、たとえネタ上のハッタリであってもちゃんと提示しているってだけで大したもんだと思う。それが水モノの極みであるお笑いなだけになおさらね。…てことでおもろかったけど、こういうテメエのはらわた見せるようなネタやりだすと後がきついような気もする。ま、その辺はプロ、いくらでも手管ややり口はあるでしょうけどね。ええそうでしょうとも、期待してますよ今後も。2期とかね!

ルパン三世・20話。かつてのアイドルスターの思い出の車。未だに彼女に寄り添っている男は、ルパンがその車を盗んだことに対して妙に素っ気ない。それは思い出と現実の間に横たわる、人生のほろ苦さについてのアレコレである。史上最もユルくて安全なカーチェイスの果てに、ルパンは…というかアイドルとマネジャーは何を見る? というね。

アクションやサスペンスは控え目ながら、じっくり読んで聞かせるようなテンポのお話であり悪くない。失ってしまった明るい過去に対し、現実の悲しみを封印せんとして辛辣になっている男のモヤモヤぶりが弱っちくてよろしいね。坂口芳貞の年輪を感じさせる演技と声が実に渋くて印象的だけど、この声で後半古いアイドルソングを歌い出すってのがもっといい。…このアイドルさんとその歌、なんか元ネタあるんだろうな。ワシそっち方面に疎いのでよく判んないけどね。思い出せるのはほらあのアレだ、シュガシュガルーンの歌の元ネタの…(検索して)夢見るシャンソン人形。でもこれはフランスだし違うわな。まいいや。

お題のクラシックカーはこれ、古いほうのフィアット500かしらね。車自体が主題でもある回だけに、ポテポテとした古臭いエンジン音がなかなか効果的。そういやこれ、最近のアニメにしては珍しく自動車も手描きやな。流石にわざわざトポリーノをモデリングするのは面倒だったか?