うしおととら/ワンパンマン/おそ松さん/ルパン三世

うしおととら・25話。バケモン研究機関・ハマーさんたち登場。彼らにかどわかされて研究対象となったうしおさんと、ついでに囚われたが抜け出してアレコレしてる麻子さんと、あととらさん。なんかこういろいろあるんだろうが、文句タレながらも獣の槍で戦闘試験やってるうしおさんが妙にツボった。ま、一応相手が人間だし、悪意の塊って程でもないだろうしな。

てことで、これは理性と感情の相克のお話である。ハマーの科学者さんたちは、その目的は白面打倒であるにしても、その手段として他の人間の内面とかそういうことには全く顧慮しない。そこに強烈な違和感を覚えるのがうしおであり麻子である。流からしてまあ、科学者たちが考慮外としていた感情というものに大きな力がある、ってところに行き着くのだろうけどね。その大きさは(毎度のコトながら)感情があふれ出している者の表情見れば判るワケで。うしおさんの槍を分析されてる時の顔、よかったすねえ藤田的表情で。

三人の科学者に沢木郁也有本欽隆・津賀有子。前者二人は言わずもがなの役者どころですが、津賀さんって方をよく知らなんだので検索したら…ああー、モグタンの声の人なのか。いやもう思い出せませんけど。あと当時見てて気付かなかったが、バルトアンデルスってバルダンダースだったのね。幻獣辞典は読んだはずなんだけど、記憶に残ってなかったなあ。そしてあとキルリアン技術が実に時代であってよろしい。若い人は知らんだろうが、一時期あったのよキルリアン写真とかさあ。

ワンパンマン・最終話。宇宙の歯医者もとい覇者ボロスさんとの最終決戦。今までとは格の違う強者であり、作画もここぞとばかりに暴走するのだが、やはりサイタマには敵わない。「お前は強すぎ」ると言われて少々の寂しさを覚えるサイタマさんの絵は、確かに孤独なヒーローの姿ではある。…でかい宇宙船の上と下に状況が分断されてんので、圧倒的なサイタマの強さ(とボロス)については誰も知らず視聴者のみが知っている、という構造は上手いかなと。アンサングウォーならぬアンサングバトルですな。

ともあれ宇宙からの危機を排除した人類であるが、これからもまた敵の途切れることは無い。早速ちょいタツノコ入った冥界の王が襲来し、そしてサイタマのワンパンで斃れてゆく。ザショウマストゴーオン、物語は終わらない…っつーかいろいろ伏線もそのまんまだし、いかにも原作がこの先もありますよってなシメ方ではある。あとタツマキさんのキャラのかわいく描き方が上手いなと思った。設定と演出と悠木声、どれもがよくマッチしておられますわな。

●総評。ワンパンで敵を倒すヒーローという、そのワンアイデアだけで突っ切ってゆくという一種無謀な作品。内容的にはホンマ、そのワンアイデアをクライマックスに据えるという、とことんそれのみで構成されている。この作品には一般的な意味での「物語」がほぼ無い。いやバトルやアクションの為のタメや盛り上げや状況設定はあるんだけど、フツーはそれらの底部に何かテーマやら語るべき思想やらを通したりする、そうなりがちなものがこの作品には無い。悪く言うなら薄っぺらいにも程があるんだが、よく言うなら純粋な構成である。…元がアマチュアのネットマンガという、一般的な作品となる傾向への「進化圧」が薄いものなのが奏功してんだろうな、多分。

これはアニメとしてはちょっとリスキーな作り方で、作品をエエものとして成立させるためにはその見せたいものであるバトルシーケンスに手を抜くことができない。「絵はともかく話には引き込まれるなあ」ってのがムリなんだからしょうがないよね。そしてこのアニメは充分に成功している。いや本当、毎回ようやったよなあ。「すべてがアクションのために用意されている」ってのはちょっとマッドマックス4とか思い出した。作品を贅沢に構築をできるならアリってこっちゃな。

…案外これ、ハリウッド映画として翻案しやすい題材なんと違うかなって気がした。2時間という枠なら全編を超絶アクションSFXのために作り上げるってのはイケそうだ。話の作り方もね。無論上記のとおり、そのアクションがちょっとでもヘボかったら成立しないタイプの作品になるので、ビッグバジェットにしかなりえないって段階でムリっぽそうだけどもさ。

人気もあったようだしネタ的にも終わってないし、早晩2期の情報が出てくるという可能性は高いだろう。ま、その時にはまた、楽しませていただきたいと思います。面白かった。

おそ松さん・12話。「年末スペシャル」というお題であり、なんとなく総集編っぽいなーと思ったらマジで総集編だった。元からこういう構成だったのか…ははあ、チョロ松回がお蔵入りになったから一回浮いたってことか…。ともあれ、おそ松とトト子のMCによるクズっぽい総集編。おそ松はともあれ、トト子が安定の身も蓋もなさでそこはいいなと思ったけれども、でもまあ総集編だしなあ…と思ってたら副音声が六つ子によるコメンタリというよく判んないサービス。ワシそない声優ラジオやコメンタリに詳しくはないんだけど、実にどーっでもいいぐっだぐだ加減が割によろしかったです。いいよね、おっさんたちがぐずぐずと喋ってる光景。実際の声優年齢的にそう差は無いはずなんだけど、前半の年長組と後半の年少組で結構構成力というか「天然さ加減」に差があっておもろかった。小野大輔が被害担当艦でしたな。

ルパン三世・12話。謎の天才が遺した謎の文書、それに同じく天才のルパンが挑む。そして明らかになるのはこの書が「他者の脳内に別の人格を、人物を、あるいは世界そのものも構築する」というムチャクチャなものであること。そして「夢を見ない」ルパンは、夢の中でかの天才…レベッカの思い人、コウさんと語ることになる。…あるコンピュータのデータ上にそれと同等以上のコンピュータをエミュレートできるかどうか、なんてそんなヤボなことは申しませんが、まあ確かにこの技術はビックリものではある。そらMI6も追い求めますわな。

てことで種明かしというかマクガフィンの解題話。今までにも増して過去のルパン作品への匂わせが多かった印象でして、例えば「ルパンが走るといえばこの絵」っちうあのシーンがあったり、「こんかいは仕事抜きだ」ってな台詞があったり。あと上記の如く「ルパンは夢を見ない」ということへの言及、これはこないだ「媚薬が効かない」ってなギミックの時にも言うたけど、そうなのよね。ルパンって単にスキルフルな人ってだけじゃなく、一般人とはかけ離れた超人でもある、んだよねえ。それにキッチリ対抗できる銭形ってどんなんだ、って話でもあります。

…「ルパンの過去作へのオマージュ」みたいなこと書きましたが、ひょっとしてあの脳内世界は幻の押井ルパンとかそんなんだったりする? 雰囲気がちょっと「天使のたまご」みたいだったのよね。うん、考えすぎか。