シドニアの騎士/血界戦線

シドニアの騎士 第九惑星戦役・11話。冒頭からつむぎさんVSベニスズメの一戦。高速で軌跡引きつつぶっ飛び回るという、ドラゴンボールみたいな戦いはやっぱ次元が違うなーとか思ってたら後半に乱入してきた谷風さんの機体も大概でした。どんだけ固いんだよあの素材ってのもあるし、中の谷風さんも大丈夫なんすかねってな心配も。慣性制御とかしてたっけこのロボ。まいいや。

その谷風バトル、腰を据えて全方位からの襲来者たちを撃ち落してゆくスペースインベーダーモードの後、新兵器のブレード使って三体のガウナをずんばらりんと斬って落とすという…わあすごい、主人公みたい。この辺りのスローと高速さのメリハリによるケレンがとてもかっこ良かった。でも最後はベニスズメに侵蝕されてなんかこう、ちょっとぐろえろいことになってますが…ってとこでシメ。

つむぎさんに圧倒されかけてるベニスズメ、ううっとかあっとか苦しんでるような声出してんのがちょいと違和感あったりした。うふふふ笑いや「撃ち抜きます」の声は「意味もなくモノマネしてる」的な怖さがあるんだけど、この悲鳴は得体の知れなさが薄くて何やら「人間のようなメンタリティ」が感じられるというか。あるいはこれも単なるモノマネなのかしらね。でも本体抜け出てきておびえてるような姿してる、と思ったらいきなり目からハイライト消えて反撃、の流れは怖くてよかったです。てェかこの辺、考えたら州崎VS州崎なんだね。

血界戦線・11話。お話の前半中盤を使い、ホワイトさんとその家族の歴史が語られる。持てる者の元に生まれ、持てる者を兄弟に持った持たざる者の話。これで周囲が彼女を大なり小なりバカにしたり、あるいは薄っぺらい態度で擁護したりでもすればある意味、ホワイトさんはストレートに悲劇を甘受できたのかもしれん、けれども。幸いなことに(いや本当に幸いですよ)、家族はホワイトさんをありのまま、対等に受けて組み合ってくれる。多分、絶望王とのカラミが無けれりゃこのまま十全に人生を過ごしていた、のかもしれない。だからこその絶望王という名前なのだろうけれども。

ゆったりとした尺を取って語られるホワイトさんのこのエピソードは、なんちうか実に機微が細かくて、ある意味この作品の中も浮きかねないほどの繊細さがある。能力を持たないホワイトさんと人々との関係性を象徴させる、カメラという小道具。取るに足らないかもしれないが唯一無二のもの、そんなカメラをホワイトさんは獲得し、失いかけてブラックさんに取り戻してもらう。「カメラなんてどうでもいい、写真なんて気休めよ!」の台詞が上手い。ホワイトさんがブラックさん(など)に対して抱く焦燥と、それ以上の愛情が一文で表現される。上手い。

お話の最後でこの街の結界が綻び、なんか知らん大騒動になるそのトッパナが描写される。堕落王ならまあ「おもろいから」っていうのがその理由だろうけど、絶望王がその名を冠した上でこのカタストロフを引き起こそうとする理由は何だろう。…ホワイトさんが自己に抱えて持つ矛盾が、この騒動にまで至ったってこったろうけど…さてね。ソニックのお猿さんがなんか重要な役目を担いそうですけども。次回を待とうかしらね。

…あと何だ、まあ当然ではありながら、この世界でもスキャナーズはありますのんね。いや待て、あのハゲの相手がマイケル・アイアンサイドにしちゃイケメン過ぎるので違う作品なのかもしれない。しれないな!