攻殻機動隊/ジョジョ

攻殻機動隊 ARISE・10話。パイロマニアさんは思惑ありげなクルツさんの手引きによって闘争に成功、ファイアスターターとの因縁深いホヅミさん(と少佐ご一統)を追っかけることになるのである。まずは必要なセキュリティキーを得た上で、軍の無人攻撃ヘリで無慈悲に襲い掛かるというなかなかコワイお兄さんですな。ま、少佐と集合知の前に敗北を喫し、しかしクルツ中佐はまた一段陰謀の笑みが深くなる、という…今んとこ少佐はどうしても後手に回る展開になっちゃうのはしょうがないとこでしょうかねえ。

ファイアスターターの…というよりは今回のパイロマニアが信望するドグマは「人をネットに変換して自我をアップグレードする」ってなことらしい。パイロマニア自体にはゴーストも無く、方向性の共通する複数の記憶が統合したものということらしいが、しかしファイアスターター自体「疑似記憶をカマすウィルス」みたいなもんである以上、パイロマニアという存在も虚しいものではある。そんなん言うたらこの世界、誰だって怪しげなもんなんですけどね。

とりあえず今んとこ、首だけの存在になってあっちこっちに狙われてるホヅミ大佐が妙に面白い。立ち位置としてはお姫様っぽくもあったり、扱い的には単なるマクガフィン…っちうか万延元年のラグビーやなこれ。いや大江健三郎のアレじゃなく、筒井康隆の。

●…さて、番組表にはこれで最終回とある。次週は何か特別番組らしい。てことはこれ、このまま映画に続くということなんだろうね。うーむ、そうなるとちょっと総評も何も言いづらいけど…やっぱ尻切れで放置されるのはちとヤではあるなあ。映画のプロモーションアニメをただで見せてもらってる、と言えばお徳なんだろうけどもねえ。

まあ寸評的に感想を言うと、よくできてる作品ながらちょいと華が少なかったなあ、というか。SACはその辺判りやすい通俗性を一定ライン保ってて、また画面と色彩の設計も割とキャッチーなところを残してんだけど、このARISEは良くも悪くもストイックで遊びが少ないというかね。思い返せば結構いろんな話があったのに、全体の印象は何か似たようなこと繰り返してたなーという頭の悪いことになってしまってる、のはかなりの部分ワシのせいではあるのだが。ま、そうねえ、映画見に行くかどうかはちょっと怪しいけど、機会あらばこの続きは補完したいなと思います。あとデコ少佐デザインは…賛否あろうけど、ワシはデコ嫌いじゃないので。うむ。

ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース・47話。特別サーヴィスのオープニングを経て、1話ほぼまるまる承太郎とディオの超常バトルのシーケンス。ボリュームたっぷりではあるんだけど、この辺りのディオとの戦いは…ううん、こうしてアニメとして連続で見るとやっぱ、ちょっとしつっこい所はあるな。ディオの能力が時止めというとても強力なものであるだけに、一発で決着! みたいな状況を避けるのが難しいってのは判るんですけどね。

まあその、なんかこう、ディオが襲い掛かる→何かの仕掛けにビビる→攻撃を躊躇して仕切り直す、の連続みたいな印象があるのよね(実際はそこまで連鎖してるワケでもないが)。磁石とか雑誌アーマーとかマンホール先回りとか、アイデアで見せようとするもちょっと苦しい。あれだけ大きな口を叩くディオさんが、その直後にビビりまくったりするという一連の絵は…ま、それも彼の属性の一つではありますがな。それにしてもびゅんびゅん飛び回るバトルだな、とも思う。もうディオが飛ぶのには慣れてきたが、承太郎まで飛び出したのでちょっと「え? そうだっけ?」ってなった。もうこの辺りは勢いやね。

カプコンゲーでも印象的だった時止めナイフ投げは、ダメ押しの連鎖も相俟ってかなり恐ろしい絵面になっててよろしかった。CGの恩恵だけど、ずらっと並んだナイフをカメラの素早い横移動で見せるシーンも、各ナイフの奥行きが感じられてカッチョ良かったねえ。

子安さんのディオ演技はここにきてどんどんと暴走しつつあって楽しい。吹っ飛ばされながらの「この通りに見覚えはないかァァァ!」とかもう、ヤケクソの凄味さえありますわな。次週はもっと「ハイ」になるんですけどねえ。