タマスターラー・その他

タニス・リー「タマスターラー」読了。インドを舞台としたファンタジィ、それも過去現在未来を全部包括した短編集という、割とこの人以外では書かれないんじゃないかなってなジャンルの作品。毎度ながらロジックに囚われない、耽美な雰囲気の中にも表層じゃない本質を文章で見せるという、リー姐さんの面目躍如な話やな。いくらでも奥行きがあって得体の知れない世界である一方ですごく鮮やかな情景も見えるという、なんつーかこの…「明るい夜」みたいな作品の手触りはオンリーワンではある。翻訳というフィルタがかかった上でのこの世界構築ぶりだもんねえ。すげえと思うよ。

短編集なのでそれぞれの話に魅力があるが、初っ端に置かれてたというインパクトのせいもあってか、第1話「龍の都」が一番ワシ好みだな。エキゾチックにもほどがある、常時夕闇みたいな空気感の中で、多感な少年が異世界の夢のような経験を以って大人となる話。先導役となる謎の女性の押し出しもエエし、これ若い頃に読んでたら大いに参っちゃってただろなーと思う。うん、エエ作品集だと思いました。ベストに挙げる人が多いってのもよく判るよ。

タニス・リーで思い出した。以前某所で何故かよう判らんモチベーションで似顔絵マウス絵を描いてて、その中にリー姐さんもあったんだった。折角だからここでまとめておこう。



尚、人物のチョイスにほとんど意味は無い。何となく思いついたり、描きやすいかなと思ったりした顔が並んでいる…と思う。一枚目がキャパ、タニス・リーガウスゲーデル、クロステルマン、コーシー、ポアソンバートランド・ラッセル。二枚目はリチャード・ガーフィールドカミーユ・クローデル、ヘッセ、イングリッド・バーグマン、クリメント・ヴォロシーロフ、グラハム・ハンコック、森進一、大山倍達。三枚目は柳田國男ハーラン・エリスン、グエン・バン・チュー、グレース・ケリー、S. R. シュリニヴァーサ・ヴァラダン、アラン・リックマン、マーク・ローズウォーター。…改めてラインナップ見ると我ながらワケ判らん。作家と数学者が多いのは…うーん、何でだろうな? 初めのうちはそういうシバリで描いてたんだっけ。忘れちゃった。MtGの人が二人居るのはまあ、たまたまそういう流れがあったってことで。