弱虫ペダル/ジョジョ/ユリ熊嵐/アルドノアゼロ

弱虫ペダル GRANDE ROAD・22話。勝負の行方は小野田さんとマナミさんに託される。単独で先行してったマナミを送り出し、勝利を確信してる福富さんに襲い掛かる謎のプレッシャー! ってとこでその正体が追っかけてきた小野田さんなのだが、満を持して登場の主人公という場面であり、…見ようによってはちょっと怖いシーンみたいでもあり、なんかおもろかった。ま、箱学さん側からしたら恐怖以外の何物でもないやろしね。

要所で存在感を主張しつつ、でもここまでそれほど目立つことの無かったマナミさん。ラストマンスタンディングってことでここぞとばかり、羽六枚生やすわ登りなのにギアどんどん上げてくわと強キャラアピールを前面に出してくる。小野田さんはまあ、純粋にケイデンスで追っかけていくという構図になるのだが、「ついてゆく」ということに特化した彼が抜きさって勝つためにはあともうちょっとの追加要素が欲しいところではあります。ま、主人公とは言えここまで残ったワケだし、充分に妖怪ではあるんですがね。

後ろでサブキャラどもが集まってきて解説というか感想戦をやってんのが、お互いなんか仲よろしそうでいい。小野田のツッカケを「予測はしてなかったが信じてはいた」と言う今泉さんの言葉が、この作品の根っこんとこですな。理と情、最後は情が勝つって感じっすかね。あと何だ、アブさんが出なくなった今になって、なんでみんなやたらと脱ぎだしてんのか。アピールか。ちくびか。

ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース・34話。VSダービー兄・前編。OVA版のこの回は今見ても相当の完成度で、原作からの修正を(時代や作品の性格的に)ちょくちょく行なっていた分ツッコミ所の少なさも一種の評価ポイントであり、結構な年数が経った今でも印象に残っている。って状況を踏まえてのTV版だけど…いやあ、流石にその辺は制作側も承知の上ってことで、かなりガッチリと作り上げてきたなあって感じ。本領発揮は次週の後編だろうがこの前編だけでもなかなかの緊張感で、作画的にもかなり整ったデキでよろしい。

まず原作からのお話として。アクションは少な目で会話劇メインではあるが、「特殊条件下における真剣勝負とその心理」というジョジョの大きな要素がギッチリ詰まった回である。実際ダービーのスタンドって攻撃の約定遂行のみの能力であってパワー的には弱小も同然、ダービーの強さはほぼ彼自身に起因するってのがカッコいい。コイン入れゲームでのチョコのイカサマをその場で思いついて実行したり、ギミック無しの状態でもいきなり5枚入れて成功したりとデフォルトで手ごわいってのがちゃんと描写されてる。名前間違えのギミックとかは「スティング」そのまんまだけど、荒木先生こういう本歌取りもよくやるよね。…最近酒とコインのゲームにも元ネタあると知りました。へー…さらば友よ、か。スティングは見たけどこっちは知らなんだよ。

何より銀河万丈のヴェテランらしい存在感よね。グッド! の台詞や含み笑いの声など、あーこいつは一筋縄じゃいかねェ強敵だってのがストレートに判る好キャスティング。OVAの故内海賢二に引けを取らない貫目のキャラが素晴らしい。次回のクライマックスが今から楽しみです。あと今まで気付かんかったけど、スタッフロールんとこでロトスコープがどうこう書いてあったが、これ実際の人間に演技させて作画してたんかな。あるいは遠景のモブキャラか?

ユリ熊嵐・10話。るるさんはクレハさんに母のペンダントを返しに来る。そしてるるさんなりに、この入り組んだ悲劇的世界の解題をする。るるとギンコ、クレハとの関係。何故ギンコさんはクレハさんに会おうとし、そしてクレハさんはギンコさんを忘れてしまっているのか。他者を思い、スキを忘れない為の代償としてそのスキを捧げる、ってのはかなり究極に近い試練ではある。ほとんど自家撞着なこの代償を、それでも受け入れて一から関係性を積み上げようとしているクマ二人の真摯さ、ですわな。

ギンコの為に、そしてクレハの為に真実を伝えようとしてクマに戻ってしまうるるさん。その「本気のスキ」を受け、クマである彼女を庇護し救って壁の向こう側に逃がすクレハさんの姿は、そのまま彼女の母とオーヴァーラップする。一見拒絶するような台詞でるるさんを見送るクレハさんのシーンは、これはこれで情愛が判るんだけど、「友達ではない。次に会ったら殺さなければならない」という台詞がどうにもフラグっぽくて気になるとこですなあ。これ、絶対もっかい会うよねえ。

主要三人の立ち位置と彼女たちを取り巻く容赦の無い世界、これらがかなりクリアになってきた上でのるる/クレハの行動のドラマチックさがよろしい。純粋で一途で正直な、結晶のような心。そんな話の流れで、特にこのクマのデザインだってのが今更のように「卑怯やなー」とか思ってしまう。そらこんな、ふざけた可愛さの動物が一心に行動すんの見たら心動くわいな。…あと何でしょうねその殺熊光線車ってのァ。メーサー殺獣光線車みたいな名前と外見しやがってかっちょいいな。光線照射部分がユリダークなのね。中身がサイボーグ化されたゲッスゲスクマってのは、ファンシーな演出でかなり怖いネタをやるギャップですな。

アルドノア・ゼロ・22話。月面基地と揚陸城というスレインさんの拠点に突っかけてくるイナホさんご一統。まあ無茶極まりない特攻作戦だが、そんなけデウカリオン一味が本部から鬼っ子扱いされてるってことでもある。辛い作戦に死にそうになってるデウカリオン組の裏で、姫様暗殺部隊がスニーキングする…のに乗っかってゆくのが我らがイナホさん。割とあっさり潜入成功したりイナホ/スレインが単独でエンカウントしたり、というこの辺のご都合展開はまあ「細かい説明はお互いめんどうやんな」ってことで納得できる、かな。

主役二人の境遇。自信を取り巻く状況・シチュエーション的に追い詰められ気味なスレインと、メカ目玉によって身体・精神的にトラブル増加中のイナホという対比は、それぞれかなり増幅されている。イナホさんはとうとうぶっ倒れてしまい、メカ目玉さんがサブ自我として情報伝達するに至ってますが…これ、人格乗っ取られたりはしないよね? 流石にそこまで超テクノロジーでもないか。…やっと出会えたイナホ/姫様だけど、その意思伝達はこの目玉さん越しでしかできなかった、ってのがなかなかメロドラマちっくではあります。

逃げるアセイラム姫の前に現れたクルーテオ卿の息子さん、クランカイン卿がどういう立場で行くつもりなんか、そこが問題やね。明らかにスレインさんとは対立する関係ではありそうだが、だからって地球側につくとは中々思いづらいとこだし。…しかし皇帝陛下が病状すぐれずとか、そういう描写があるとねえ。どうしても小川真司のことが思い起こされてねえ。…タイミングはずれたが、謹んで哀悼の意を。