スペースダンディ/アルドノアゼロ/残響のテロル

スペース☆ダンディ・25話。アバンいきなり囚われのダンディ、そして勝手に進んでる裁判風景。いやあ、めんどうな前置きも無くテンポのよろしいことで、って良すぎますけどね。てことで本編は殺人犯として裁かれるダンディの話。ワケが判らぬ上にしょーもない様々な要素によって二転三転する、しかしどうにもわくわくどきどきしない裁判風景がバカっちくてよろしい。ギミックが野球とプロレスとツイッターの喧嘩という、実にボンクラてんこ盛りな殺人事件の裁判初めて見た。…何度も何度も言いますがね、まず海外で配信されるようなこういう作品にですね、ジャコビニ彗星打法とかそういうネタをもりこんでホンマにエエんですかね。んでその相手は侍ジャイアンツっぽいし…好きにしたらええねん、もう。

そういうバカな流れの果てに、一応最終回近いってことでちょっと気になる感じのヒキでもって次回に続く、という状況。ダンディにまつわる謎や疑問がこの事件を引き起こしたっぽいが、さてねえ。一体どういうテイスツでもって物語をシメるのかちょっと予測できない。真面目にいってもバカのまんまでも、両方アリっぽいもんねえ。

野球やってたお二人に冨永みーな白川澄子というサザエさんキャスティング。何もデザインまで似せるこたねーじゃんと思うが、まあ重要な事なのだろう。殺人的野球シーンでまァた突発的にナメた上等作画になって可笑しくてしょうがない。今回再度一人原画の三原三千夫、このおっさんも大概バケモンではあるなあ。その他脇役も柴田秀勝家弓家正関俊彦大原さやかとまあ、ラスト近いからって大盤振る舞い過ぎる。カネのかけ方がおかしいんだよこの作品は!

●続いて二階建てでスペース☆ダンディ・最終話。前回ゴーゴルに引っ立てられちゃったダンディ。彼を得たものが、まあどういうリクツでどうやって使うのかはよう判らんが、ともかく宇宙の覇者になれる。あい争う巨大帝国両陣営! 虎視眈々と獲物を狙うスパイ! 慌てて駆けつけるお仲間さんたち! というお膳立てはともかく、言いたいことは「相手が矢島正明の神サンだろうとめんどくせェものはめんどくせェ」というバカダンディという話。実際最終兵器に吶喊してゆくダンディのシーンは、そのバカっぽさとダンディさがいいブレンド具合で実に「らし」かった。…まあミャウとQTの腐れ縁コンビはともかく、ハニーとスカーレットがここに居てんのは「いや別にそこまで付き合わんでも」とは思うが、そうなるとラストバトルの絵がどうにも華やかじゃないのでこれでいいです。

ジャイクロが樋口雄一、ゴーゴルが大河原邦夫のイデオンVSガンダムというワケ判んない構図の宇宙戦争がやたらと楽しい。ジャイクロの総帥さんは地味に初めて再登場したサブキャラじゃなかろかしら。あとあの最終兵器近傍のウネウネエフェクト、あれは金田伊功の幻魔対戦火炎龍だよね。…作画スタッフ見そこねた。まいいや。

●総評。分割二期を使い、アフロじゃない方のナベシン監督によって打ち上げられたしょーもない大金アニメ。こういう言い方するとそこはかとなく聞こえが悪いが、まあ実際そんな感じの作品ですよね。そして結局、このシーズンにおいては一二を争うくらい好きな作品となってしまった。正直第一シーズンの三話くらいまではどうもシックリこなかったのだが、やっぱ四話のゾンビ話が一大転向点だよねえ。あの箸にも棒にもかからないボンクラ加減はちょっと得がたい感覚である。そっからあとはもう、楽しみ方が判ってるからサムズアップしまくり。…少なくとも、脚本家として「うえのきみこ」というお人を知ったのは大きな収穫であった。わが目を疑うようなしょーもない話があったら大概この人の脚本という状況。あきまへん、ファンにならざるを得ない。

気がかりなのは…そうねえ、どう考えても世間一般的に大賞賛で迎えられるとは言いにくい本作のために、アレコレだまくらかしてカネ引出された出資者さんたちのご機嫌ですかねえ。ワシ的には是非第三・第四シーズンと続いてってほしいけど、まあムリだよな。願わくば世の中に、酔狂なセンスしてる大金持ちがいっぱいいっぱい居てることを願いつつ…うーん、満足したのではなまるをあげよう。ネバーエンディングダンディのために!

アルドノア・ゼロ・最終話。つっても分割放映の前期が終了ってことでして、続きはまた来年というアレなんですけどね。ザーツバルム卿の居城にツッコんだデウカリオン、そっから後はゴタゴタの混沌状況。そして混沌の果てに決着した地点ってのが…ううむ。姫様は大川卿によって、卿とイナホさんはスレインさんによって殺されるというなかなか見事なビックリ決着で面白い。「味方に銃を向けるやつはいない」という台詞を踏まえたうえで、スレインさんはこの転がりまわった末にとうとうすべての世界に対して「敵」となる。今までの彼の流転はこのために用意されたもの、ってこったなあ。

…サブタイはクラーク「幼年期の終わり」からのものであるが、これが火星-地球間の関係性のことであると同時に、スレインさんのありようについてのことでもあろう。もう、ただ必死でがむしゃらなだけで自分を定義できるようなナイーヴさは無くなってしまった。これからの世界/自分は、更に無慈悲な時代を通って行かねばならないだろう…ってか。幼年期が終わるってことは来たるべき第2シーズンは、時間飛んでスレインさんが成人となってるというシチュだろか。エデルリッゾちゃんがヒロイン格になってたりして。…まさか元ネタみたいに各世界の人類たちが大幅な変容を迎えたりはしないだろうね。判らんけどね。

ま、そういう話とは別に、大川卿のカタフラクトのゴッテリしたてんこ盛り具合はとてもよろしかった。黒い巨大合体ロボにして今まで登場したロボの能力をすべて持つ、という…ああ、これこそ悪役の駆るべきラスボスロボ!(まあ中ボスだけど)って感じっすなあ。自身のロケットパンチ化にまでは至らなかったのが悔やまれるほどの大盤振る舞いに大いに満足である。迎え撃つイナホさんも、冷静に冷静に対処するやりかたが極まっててよろしかった。なりゃこそ、死亡退場が劇的になったワケでもありますが。

●総評、ってってもまだ途中ですがね。毎回々々意外性で話を転がし、見る方を飽きさせない展開はお見事。最後の最後で主人公かと思われてたイナホさん、そして姫様を死亡退場させちゃう裏のかきかたはなかなか堂に入っている。

監督のあおきえいTYPE-MOONにそこそこ縁のあるフィルモグラフィであり、確かにその体感温度の低い演出はよく合っていると思う。その視線の固さはワシのちょっと苦手とする風合いなんだけど、まあこれは趣味の問題。実際苦手としながらここまで興味を持って見続けてるんだから、鼻づらの引っ張りまわし方の上手さは相当なもんだと思います。

えー、そうっすね、ってことで後期も見たいと思う。そんなとこで。

残響のテロル・最終話。東京を人質に取って、スピンクスたちがやろうとしたことは何か。現象としては高高度核爆発によるEMP攻撃であり、東京の/日本の基幹機能をダウンさせること。柴崎さんは「奴らは今まで人を殺さないようにしてきた」ってことでこの作戦に至ったけれど、これは…ねえ。猶予が1時間程度では多分結構な死者出るよねえ。少しだけ温情のあるヨルムンガンド計画、ってとこでしょうか。

さておき。目論見通り爆発はなされ、スピンクスの二人の真なる目標…「自分たちを生み出した一連の事案を誰も無視できない状況に置く」こと、もっと端的に言えば「自分たちが生きていたことを覚えていてほしい」こと、は成就する。ナインによる最後の脅迫は相手が米軍となればほぼ意味をなさないものであったのだが、これを彼の失策と見るか「もう別にそこまで重要でもなかった」と見るか。いずれにせよ、世間を大いに騒がせた大事件はここに一応の収束となる。…ってとこですかね。

●このまま総評に行きますけど、非常に丁寧に繊細に作られた「ジュブナイルテロリスト」のお話であり、歪みもあり直情もある一種のホロ苦い青春モノとしては雰囲気の高い作品だったと思う。んだけど、ちょっと雰囲気が過剰だったというか、ワシ個人の嗜好としてはもう少し登場人物の行動指針に判りやすい「リクツ」があったらな、ってとこですかね。

筆頭はハイヴさん、いやもうこの人の純粋な人間関係性への欲望も判るし、ゲームの進め方と裏腹な行動原理のロジックレスさも面白いんだけど、それがあんまりベタなカタルシスになってないのがもどかしというか。あとリサさん、この人も徹頭徹尾スピンクスたちにとって「必要とされている」存在という象徴であるのはいいんだけど、その象徴性が高すぎてほとんど古典物語のお姫様みたいな扱いに見えちゃうのがワシ的には少し残念だったっすか。もっと妙な、意外なネタがくっついてきたら面白かったのに…とかね。

とまれ、カシコ同士の頭脳戦というワクワクするネタは結構あったし、スピンクスたちのちょいと浮世離れした切れ者ぶりもおもしろかったし、柴崎さんのキャラも定番ながらカッチョ良かったし、楽しんで見てたのは確かなのですけども。うん、あとちょっと好みだったらな、ってとこで。…柴崎さんのあの民俗学系の知識量は何なんでしょうね。苦手な理系分野は娘さんが超絶特化してるし、便利なご一家だとは思いました。うん。