スペースダンディ/アルドノアゼロ

スペース☆ダンディ・16話。待望の湯浅回であり期待にそぐわぬ湯浅味。大平晋也とか三原三千夫とかのオシゴト仲間を招聘し、作画連中は基本海外で固めて奇妙な風合いをかもし出し、その上テメエで作画監督までやらかしている。どこぞの記事で「ダンディなのに湯浅キャラになってて必見」っつってたけどまさにその通り、なんか見てるだけでドラッギーな気分になる画面であった。…中盤の怒濤の巨大水柱シーン、あれ太平さんの作画やろなあ。独特にして絶無すぎる。劇場クォリティで絵ェ上げてきやがって、ホンマこいつらどうかしてると思いました。

ピンポンの時にもちらっと言うたけど、湯浅監督ってそのシュールなセンスも突出しているけど、まずその前に非常に高い技量を有するストーリィテラーなのだなと思う。マインドゲームに四畳半にピンポン、とそれぞれクセの強い原作をキッチリと再構築し、結構ど真ん中辺りを狙ってミットに収めてくる。脚本や全体構成には意外と「破調ならではの歪な魅力」みたいなのは少なかったりするのよね。その辺は主にヴィジュアル部分、その想像力の奔放さに疑いの余地も無い。…だから、ムチャな外見してる割に視聴に優しいアニメになってるワケだ。実際ご本人の根っこの部分はロボとアクション好きでストレートなエンタテイナーだもんね。いやはや、今回もおもろかった。あの極端な公転軌道を持ってる惑星、多分裏側にはキッチリとした設定があるんだろねえ。

ゲストのカルパッチョ星人に浪川大輔。意外っちゃ意外な役柄だが、自分の同胞と恋人に裏切られ文字通り身を焦がして破滅してゆくというお魚的悲劇にはなんかフィットしてて感心した。寝取り男の中尾隆聖もスゲエキャストだが、一番ビックリしたのは元恋人に白石冬実って…ものすげえ久々に聞いたよ! フィルモグラフィ見ても最近は稀にミライさんアテてるくらいで半引退状況のようだが、いやあ…ううん、何考えてんだろね音響監督に総監督。ヘンなトコで笑ってしまったよう。

アルドノア・ゼロ・3話。異常な防御能力と火力によりこっちにはなすすべもなく見える火星側ロボであるが、主人公のカイヅカさんにはいくつかの突破口と作戦が見えている。…ははあ、トンネルに入られたら追って来ないってのは外部別箇にカメラがあったからなのか。そしてその無敵装甲にもどこかウィークポイントがあるはずで、その個所の特定をするための作戦が必要で…とまあ、物語の転がし方に綱渡り的な面白さがあってよろしいな。実際はここまで上手いこといかんだろうけど、とにかく辻褄が合ってキレイに繋がってる感覚が重要であってそれは充分。とにかく、ありあわせのヘボ戦力で圧倒的な敵を倒すというノリが楽しいよね。

そ、戦力的には寄せ集めのありあわせである。戦闘経験も無い学生たち、わずかな軍人勢力、敵国…ヤサグレ敵星のスパイ少女、そして亡国の火星プリンセス。主人公側のデコボコ野郎どもの中にこうしてお姫様を置いてしまう極端さが上手いなと思う。あわや敵ロボの餌食に、という瞬間に魔法少女的なプリンセス変身でもって「お控えなさい!」と水戸黄門攻撃をカマす辺り、世間知らずというよりはこれ一種の「強かさ」と見るべきだろうな。アチシの地位程度で役に立つんならどんどん使いまっしぇえ、みたいな感じ? …政治的道具として死んでくれなきゃ困るという自身の立ち位置を知っても、何とか受け止めて乗り越えてくれるんと違うやろかって気がします。いやまあよよと泣き崩れたりしてもそれはそれでおもろいけどさ。

火星の鬼っ子であるスレインさんに粛清されちゃったトリルラン卿ですが、櫻井さんはホンマなんかこう、こんな感じの役が似合うっちうか何ちうか。こういう役割のキャラに対し、ホンマに判りやすい性格と外見を与えるという割り切りは一種潔いと思う。キャラは単純に立たせてナンボ、それがワキであるならばなおさら、ってとこで。…スレインさんはこっから主人公側に編入されるのかしらね。このままふらふらと定まらないままというのも(悲劇譚として)アリな気もしますけれども、さて。