スペースダンディ/アルドノアゼロ

スペース☆ダンディ・15話。頭の先からつま先までイイカゲンでカンチガイなダンディであり、そしてそれはミスター勘違いグランプリでチャンプになるほどの腕前である。そのダラッとした性格を見込んで、笑顔を求め続ける操り人形の人に召喚されて…笑顔を奪われようとしているダンディである。そんなダンディのある一日である。結局なんかちょっとエエ話っぽく終わったような気もするが、たぶん気のせいである。

てことで今回は信本敬子の脚本話。前回のノミ星人もそうだけど、信本さん担当回はダンディにおいてはイマイチはじけきれてないというか、もうちょっと「イイカゲンでカンチガイ」な方がらしいんと違うかというか、…まあその多様性もこの作品の味ではあるのだが。途中に出てきた「時の川」の辺りにもっとネタ詰め込めるよなー、もったいねェなーとか思いながら見てた。などと思いつつ、最後の最後ウクレレの曲とダンディの記憶で物語にループを作るってのは上手いな。これで全体がカチンとまとまり、なんかエエ話風味がいや増すってもんです。あとあの唐突なヤマトもどきは意味わかんなくてこれも良かった。なんだアレ。

笑いを渉猟する「ウクレレ男」に古川登志夫。かつての軽薄キャラの代名詞がこうして「笑いを集める男」になってんのがイミアリゲでよろしい。エエ声やよね。そしてかなりどうでもいいチョイ役のカピバラ星人さんがなんと久川綾、ものすっげえ無駄遣いしてやがんな! 毎度ながら無駄に豪華なアニメやでェ。…ってこの次回予告、ひょっとしてこれ湯浅と違うか。うへえ、これは今から楽しみじゃわい!

●新番組・アルドノア・ゼロ。…なぜか2話だけ録画されてたのはこれ、1話の録画失敗してたんだなこのワシのヘボレコーダめ。てことで1話はアレコレして補完。えーと…虚淵脚本のロボアニメ、という事前情報にて鑑賞開始。まず「火星のプリンセス」ですか、ホンマ絵に描いたような異世界高度文明っぽいお姫様、優しくて高貴でちょいと世間知らずな貴人がですね、星間抗争のダシというかタネというか、そういうものに利用されて大戦争の引金が引かれるまでのお話。…アポロ17号によって火星の古代文明が見つかったっつってたからこれパラレル世界が舞台かな。

とりあえず、遅刻遅刻と朝起きてバスん乗ってガッコ行って、という何と変わらぬ現実的描写の地球(日本)側と、すげえテクノロジーと前時代的ないでたち/思想を有する火星側の別世界的な対比はまずまず効果的ではなかろうか。しかしこんな短期間であそこまで世界観も価値観も別物のコミュニティができあがるもんかしらとも思ったが、考えてみりゃアポロ後期から今現在までもう40年以上経ってんのな。うーん、そこまで隔絶してりゃああなるのも判らんでもない…か? いやどうだろう。まいいや。

一応ここでお亡くなりになった体のお姫様だけど、あの流れだとご本人は多分死んでないよねあれ。まァそのことが更なるゴタゴタのタネになるのも間違いないだろうけど。あと地球側の主人公さん、カイヅカくんですか、割とクール系の少年なんですが、そのキャラの立たせ方が上手いなと思ったのは姫様暗殺爆破事件の瞬間。爆発してる方を向いてる友人たちの頭ナメで全く別方向見てる絵を自然に繋げてくる、あのコンテですわな。キャラ付けとしてはようあるタイプの人っぽいけど、見せ方の演出が小手先上手くてなんかよろしかった。

てことで。ちょいと斜に構えた感じのある風合いだけど、ツカミとしてはなかなか上手い第一話だったんじゃないだろうか。あまり辛気臭くならなきゃいいがなと思いつつ、もうしばらく継続してみましょうか。

●てことでアルドノア・ゼロ・2話。そして強襲の火星人たちである。航空勢力も地上勢力も何もかも、地球物理と兵器に対して圧倒的に強く、コッチの刃じゃかすり傷も付けられない。んで代わりに向こうの攻撃は必中必殺、もう大人と子供どころか巨人とアリ。とことん悲惨な、どうしようもない戦力差を見せつける、とまあそんなお話ですな。

主人公たちはドタバタと出現した戦場の中右往左往し、象徴的に1人戦死者を出し、人生の先達たる大人の助けを受けられず、そして怪しげなる敵勢力の何人かも同乗し、んで残された道といえば学校に戻って練習機を持ち出すこと。そんなもん蟷螂の斧であること甚だしい頼りなさであるが、しかしそこにしか物語が導かれないのであればしゃァないわな。…しかしこの…何でしょうね、主人公さん、カイヅカさんですか、この少年の異様な冷静さは。なんかどこかで感情を奪われる処置でも受けたようだ。ま、そんなん関係なく単にそういう性格、でもいいけどね。

火星の戦闘貴族さんたちはどいつもこいつも傲岸でヤらしい性格の人間ばかり。こういう演劇的で大仰なキャラの振り分けは、大胆にやるなら意外と効果的だったりするもんですが。さしあたり敵味方の極端な差異が判りやすくてよろしいんじゃないかなと思います。…ちょいと類型のカタに押し込み過ぎかなと思わんでもないが、まァそれはこの先どう展開してゆくかによりまさァな。あと火星側のメカとかロボのデザイン、数十年でここまで変わるんかってくらい現代地球技術との乖離が見られておもろいな。今回メイン敵の人のロボ、もっさもっさした外形の異形さがドラムロっぽくてなんか好き。