パシフィックリム

●毎度のビデオレンタル屋(つってももうビデオなんかないんだけど)の契約更改、のついでの映画一本サーヴィスである。今回は割と簡単にお題目決定、パシフィック・リムをチョイスして鑑賞する。まーこの作品に関してはもう、議論も感想も千度ほどなされてるとは思いますし、ワシの言うべきこともほぼそんなもんなんですが…いやしかし、この鬼のようなディテイルの「正しさ」たるやもう堪らんわな。ロボ出撃にあっては意味も無くパイルダーオンをやらかし、巨大なトランスポーターが動く際には警告のサイレンがブー! ブー! と吼え、敵の怪獣にはワケ判んない光る文様が浮き出ており、ああもうなんだこれ。序盤の戦いでイェーガーが怪獣にゴッツいパンチを決めたとき、同じインパクトの瞬間をそれぞれ別アングルから3ショット連続で畳み掛けるあの演出は…ええとダブルアクションってんだっけか、何となく日本風でジャンクな面白さのある演出だと思ってたけど、これって海外でもようある手法なんだろうかな。とにかく全編にわたってある意味チープな、これぞジャンル映画の真髄って感じのご馳走だらけで大いに楽しんだ。確かにこら、映画館で見るべきものではあったろうな。

個人的には当然、あの前時代的にも程があるロシアンロボとロシアン夫婦のたたずまいが一番魂に響いたことである。鉄! 油! 力! ゴツイ野郎! 同じくらいゴツイ嫁! こいつらだけ戦闘スーツのゴーグルが多重レンズのボトムズみたいなデザインなのよね。判ってるよ判ってるともロシア…ソ連っつったらこうだよなこうでなくちゃいけない。ひょっとしてあの原子炉冷却塔みたいなロボの中身には真空管とか使われてんとちがうやろか。多分そうに違いない。…もっと活躍を見たかったなあ。あとハンニバル・チャウのおっちゃんが出てきた瞬間、空気感も色彩設計もガラッと変わるのがすげえおもろかった。ロン・パールマン、楽しそうでよろしい。吹き替えのケンコバも結構ハマってましたよ。まァ小器用な人ですしねえ。

あーあと監督のオーディオコメンタリがついてきてたけど、これがオマケと言うには程遠いすっげえ濃厚なオタク/プロ語りになっててこれだけで胸焼け起こしそうなほど楽しかった。カイジューのデザインイメージには成田享のワケ判んないタイプと渡辺明の割と具体的なタイプの二種類あるよとか、いやまあ本人が楽しそうなのが一番だよねとこっちまでニヤけてしまう。うん、おもろかったよいろいろと。