蟲師/シドニア/ピンポン

蟲師 続章・6話。例年大いに花を賑わわせる桜の古木、しかし今年はちっとも花をつけない。その木陰にて安らう花のような女と、何か曰くありげな男。近隣の者によく効く薬を提供しているその男は、医者ではなく庭師であると言う。ギンコはその桜に住まう蟲とその二人に、何やらきな臭い物を感じ取るのだが…っちうね。

いやあ、この作品にしては結構ストレートな恐怖展開ですな。桜の蟲に深く影響された女性に代々三百年も付き従い、体が衰えてきては他の体に彼女の首を「接ぎ木」するという…うん、ホラーであるなあ。この女性、サホさんがずっと生き続けているその事に対する何らかの感想/感情を表現しないので、余計に曰く言い難いタイプの不気味さもあったりする。…桜の蟲の庇護がなくなれば一気に老化してしまう、というオチはまあ定番ですな。

毎度ながらの強烈な作画は今回桜と桜の蟲にぶちまけられております。平常時の満開の桜もいいBGだけど、ラストの禍つ桜とも言うべきか、ぼわぼわと枝々から桜色の蟲が湧き出してくる辺りの絵がもういろいろとすげえ。黝い夜景と鈍く光るような桜色の対比ですなあ。んでお声の出演、まず宮本充。イケメン声にしてどこか頼りなく、それでいてちょっと後ろ暗い雰囲気にぴったし。桜の女の武藤寿美さんは久々に見たな。ワシが最後に聞いたのはイノセンスの娘でしたかしら。この作品、こういうナチュラルな声の人を上手いこと引っ張ってくるよねえ。

シドニアの騎士・6話。それまで順風満帆であったノリオさんの人生に突然現れてきた谷風さん。ガウナをやっつけ星白を救い、シドニアに凱旋してくる彼の姿にノリオさんの苛立ちはつのるのである。まァね、谷風さんもう人気者だしね。それまで臭ェの何のと言われてロッカーに消臭剤突っ込まれてた状況だったのが、今やロッカーに入れられてるのは数十キロのお米だもんね。…これはこれで微妙にバカにされてるような気もするが、うんまあ買ってきて詰める手間まで考えるとおもろいプレゼント程度の意図ではあろうなあ。確かに見た目おもろすぎる絵なんだが。

その上で谷風さんはますますギャルゲ主人公的な立ち位置を固めつつあったりして、やたらゴリゴリ押してくるユハタさんに困るわイザナさんには嫉妬されるわ大変である。最終的にラブでコメな感じで星白さんとデエト状態になったりするのもお約束。だからこそ、出撃後の記憶が無いままに気づいたら自分は戦犯、星白は戦死ってな状況になってんのがショック度合高いわなあ。…ノリオさん、何かやらかしたんかね? やらかしたんだろうな。その辺は次週だろうか。

しかし何ですな、どこか淡々としてたり逆にやたら濃いところがあったりと、力点の置き方のバランスが独特で面白い作品ではある。ガウナに襲われるコミュニティという大きな流れがあるおかげでまだ判りやすい体裁を保ってるのはありがたい。いや、この世界観と画面の雰囲気でずるべたーっとした話を続けてくれても、それはそれで面白そうだけどね。

●ピンポン・6話。冒頭やたらと気合の入ったロボ作品がカミングスーン。この架空作品に登場人物の立ち位置をオーバーラップさせるという言い訳はあるけど、これ多分湯浅のおっさんがロボ出したかっただけやよね。湯浅さんロボ好きやからなあ。ま、それはともかく、本編は(放送時期とはちと外れるが)各人のクリスマス、である。いやはや、なんとまあ皆さんキャラの立ったドラマ展開であることか。軽く女に振られたペコ、許嫁のメールも見ずにただトレーニングするドラゴン、すっげえ寂しい一人ケーキの前に座るスマイル、ドカチンバイトのアクマ、家業の電設工事してる太田キャプテン。どいつもこいつも妙に生々しく、心に残るシーンばかりである。

中でも大きく時間を割かれているチャイナさんがいいよね。すっかり皆と馴染み、かあちゃんのワンタンを部員と一緒に喰い、カラオケでどこか寂しく熱唱する。1話時点であんなにトゲトゲとしていたのを考え合わせると感慨深いことであるなあ。…あと何だ、真田さん? ちょっとエエ人的言動やなと思ってたが、そのポスターとティッシュはちとその、判りすぎるほど判ってしまうような気分になってしまってアレだなあ。…ひょっとして下半身脱いでない? 気のせい? 

後半はペコとアクマの対峙、ペコの浮上、そしてオババとの再訓練開始まで。死と再生をモチーフとした擬似イニシエーション、なんてなめんどっちい言葉使わんでも、まあ今のペコならこんくらいのイヴェントでもないとやる気出んよね、っていう感じで。この辺りのアクマが本当に、いちいち言動がかっこよくて/かわいくてたまらない。見た目妖怪に近いチンピラ兄ちゃんの、純粋すぎる言葉がどれだけ心を打つことか。本心叫んでるところを通行人に冷やかされてほほ赤らめてるとか、あざといにも程があるよね。…これに応えなきゃヒーローじゃない。ペコ、さあどこまで復活するか。愛してもらえよしっかりと、オババにさ。