鬼灯の冷徹/キルラキル

鬼灯の冷徹・12話。前半はリリス奥様登場、ベルゼブブの奥さんであり希代の毒婦であり有閑マダムの権化のお人である。こういうオットナーなお姉さんを適当にあしらえるオットナーな鬼灯さんはオットナーであるな。しかしやっぱめんどくさいのでハクタクさんを紹介したらニュータイプ的に通じ合ったりする辺りがバカで良かった。確かに波長は合いそうだけどさ。あとダンナのベルゼブブさんとのバトルシーン、あのイメージシーンの真ん中に居てるお方ってアザゼルさんっすよね? あ、出版社いっしょだっけか。まいいや。

後半はそのハクタクさんについてのご一席。彼はいかにして桃源郷からおっこちて黄帝にとっつかまり、魔物化物のマスターとして扱われるようになりしかという話。こういう神話的薀蓄って聞いてるだけで割と楽しい。やっぱし鬼灯さんが一枚噛んでたのもおかしいけど、黄帝の頃はまだ日本地獄は地盤固めの途中でしたヨ、ってのはちょっと面白いな。やっぱし生者の文化的なベースが整わないと地獄もその形を成さないってことかしら。鬼灯さんの出自とかの話もあんでしょかね。

キルラキル・最終話。纐纈により全地球制服を目指さんとするラギョウ…生命繊維と、それに対抗せんとするご一統。最終話まるまる使って、そのドンデン連発な戦いを繰り広げるというお話。正直今までにも増してギッチギチに詰め込んだ脚本であり、普通の作品ならドンデンの一つか二つ削って適正なテンポに刈り込む所だろうけど…まあキルラキルだしね。そうして手心加えるよりもやりたいことてんこ盛りでやりきる方が「らしい」ってな判断だったのだろう。アリっちゃアリだと思います。

てことで、こりゃ確かに納品ギリギリにもなるわなあと思わせる濃度の最終話ではある。各キャラに見せ場があり、味方の力はそれぞれに生かされ、敵のラギョウはあくまで悪役を通し、最後に鮮血との別れと仲間たちとの再会を以って話を終わる。エピローグでフツーの女の子している三人(と四天王)がなかなかにかわいらしく、こういうセンスは衰えてないなーガイナ…もといトリガーでしたっけ。まいいや。この辺はコンテ鶴巻・作画平松ということで、やっぱガイナやよね。いいけど。

何でしょうね。しかし一番ビンボ籤引いてたのはヌイさんですかね。悪役№2ってことで登場回数は多かったものの、ラギョウ様のように最後の台詞があったワケじゃなし、あくまで道具であったという辺りがね。ま、それ言うと鳳凰丸さんというお方もいらっしゃるんですけれども。まあ。

●総評。トリガーの初地上波作…ちうより実質、グレンラガンスタッフ再集結作品として見たほうがよろしいアニメだろう。前作グレンラガンの高いクォリティとパワーを受け継ぎ、その上で更なる純化…というよりは「余計なモンは極力排除で見たいもんだけ死ぬほど盛り込むんじゃい!」という意思を強く働かせた結果としてのコレ、ですよな。その見たいものってのが70〜80年代の学園闘争モノに永井豪石川賢、って辺りがこのスタッフの性ではあるんだけど。

いやあ、それにしてもこの勢いと熱量でよう最後まで押し切ったと思うよ。途中いくらか息切れしてたような気もするが、それは多分息切れじゃなくて「ずっと頂上テンションであることに見てる側が疲れてきた」ってトコもあると思う。ずっとクライマックスでは作品として成立しない、と言ったのは黒澤だったか、しかしあえてそれを判った上で押し通すという蛮勇やよし。…でも2クールでもっかいこんなんやれと言われたら絶対やだって言うだろうな、皆さん。

作画は今更言うまでもない程の飛び回り具合で、毎話々々常に見所あったのはスゲエことである。サンジゲンのCGもよろしかったですよね。あとはキャスティング、周囲どのキャラも素晴らしいが何よりも主役・リューコちゃんの小清水さんやよね。ちと古臭いバイオレンス主人公的なチンピラ性の出し方がスゲエ上手くて、その上で毎回魂の叫びを上げさせられてホンマ大仕事でしたと思う。代表作の一つになんじゃなかろうか。

てことで、うん。満足満喫いたしました。ワシは充分です。スタッフの方々にあっては今はただお休みあれ。