銀の匙

銀の匙・最終話。八軒さんの豚丼ベーコン(ややこしい)は大人気でありモテモテである。みんなで会食の時に持ち寄った食材はベーコンの他にスモークチーズに煮玉子に…ってまあ、そらイケメン姐さんがビール持ち込むのもむべなるかなやなあ。んでもってまたもや闖入してきた兄さんに「実家にも送ってやれ、お前の本気を伝えてやれ」と焚きつけられる八軒さん。後半でてくるこのご両親、お母んはともかくお父んの顔がなんかコエーぞな。こら確かに融通はきかなそうですわ。

コマバさんたちのはっきりした目標を見てうらやましいと感じると同時に、そういうタスクから逃げてきた(と思っている)自分を省みる八軒さん。しかし校長は逃げてもいいじゃん、逃げた先で何かすりゃいいじゃんと言う。人生一つの目的に邁進する人も居れば、状況に対して自分を適応させる人も居る。どっちもそれはそれでよし、だ。…食肉となった豚丼・実家の酪農に人生を捧げるコマバさんたち、を同じカテゴリに入れちゃうのはちょいとヤバい思考法だなワシ。

Cパート。八軒さんは懲りもせず新しい子豚に「ベーコン」という名前を付ける。それは「俺はこれから先も不器用に悩んでゆくぞ」という彼の宣言でもある。さて、そんな彼はエゾノーの人々をどう変えてゆくのだろう…ってとこで一旦のシメ。すでに第二期も決まってるようだが、そうなると実家のご両親とのアレコレは避けられんだろなあ…ゲフフ。

●総評。農業高校を舞台とした学園モノであり、荒川センセのヒット作たるハガレンとはまたえらく方向性の違った話ではあるが、ケレンに頼らずとことん正攻法でがぶり寄ってくるその豪腕は共通でありますな。その王道ぶりはキャラ造形や小ネタに顕著で、時にちと陳腐になりかねんくらいである。しかし酪農と生命を学ぶ少年少女どもを描くには、そのくらいの野太いパワーはよく合っていたという印象ではある。

アニメへのアダプテーションとしては、ノイタミナという枠の色もあるかあらぬか、ちょっとテンション抑え目で納まりのいい程度の演出になっていたのはヨシかアシか。個人的にはこの題材ならもうちょっと荒っぽい勢いがあっても良かったかなという気がぜんでもないが、まあそれは好みの範囲内ではあろうか。ま、ともあれ、二期があるようなので最終的な感想はそれ見てからになりそうですな。多分見ます。

それとこれは1話でも言うたが、内海賢二氏にはここでも改めて哀悼の意を申し述べておく。お声としては1話に出たっきりであとは絵柄だけであったが、それでもこんなに嬉しい出演は稀であることでありますよ。次シーズンにはあのマッチョ先生出てくるのかなあ…。