進撃の巨人/ヤマト/有頂天家族

進撃の巨人・24話。時間は少し戻ってアニ/女巨人捕獲計画の発起から。アルミンがアニこそ巨人の正体だと推定するに至った経緯に、エレンはまだどこか躊躇を捨てきれないでいる。そしてそのどっちつかずが計画の大きな乱れを招いてしまう。地下道に釘付けとなってしまった状況下、その躊躇をぐっさぐっさ突いてくるミカサさんがなんか、すっげー怖いです。目が怖いです目が。エレンを巡ってのオンナの戦いってヤツですな! 「アニは女型と顔が似てると思います」という怖くてバカチンなシーンがこの作品らしいギャグだと思いました。

エレンってのは直情型の主人公なのである。つまりまあ、情の人なのである。だからこそ仲間たるアニを憎むべき巨人として捉えることにどうしても踏み切れないでいたワケで、しかしそこを越えてしまえばその情は激情となる。俯瞰してみればサンデル教授の授業とかに帰結するんだろうけど、エレンの内部ではそれ以前の情の問題。それは強さでもありゃ弱さでもあるんだが、少なくともこの、巨人化という見た目にも判りやすい怒りの発露を有する主人公としては相応しいところだろう。…あと、今回みたいにドラマ作りやすいしね!

後半のアクションシーンはまた、かなりリソースを割いてあってとても充実してましたな。立体機動の言葉そのまま、画面内を奥行き方向にびゅんびゅん飛び回る野郎ども(と、そのカッチョイイオバケ作画)がよろしい。あとこれはアクションじゃないが、倒れたエレンと話してるジャンとアルミンのシーン、芝居してたら画面奥の建造物に破片が当たってそのうちの一つがコッチにぶっ飛んでくる、っちう一連の出来事を同一カットで見せてるあの絵がカッコいい。最近の米国映画でよくありますねえ。

宇宙戦艦ヤマト2199・15話。バラン星のゲートを利用して帰途につくヤマトであるが、そこに待ち伏せるはまずゲール、そしてやっぱし生きていたデスラーさんその人である。亜空間内部にて待ち構えて白兵戦を挑んでくるっつー状況であり、ヤマト各部がどんどこ制圧されてゆく流れは「あ、こらやべーぞ」って感じがしてなかなかスリリング。ま、兵力のほとんどはガミロイドだから機械相手の奇策で一気に逆転されちゃうんですけどね。

てことで、上記二人に加えてフラーケンだのセレステラだのとラストバトルっぽいキャラ続々登場などんちゃん感がよし。不運のセレステラさんは設定として充分に厚遇されおり、結局最も慕っていたデスラーに殺されるという悲劇性も持っておる。その死因が精神感応波でデスラーさんをビックリさせちゃったから、とどうにもアレなのは、それはそれで物悲しくもありましょうか。この前後のシーンで「我々は愛し合うべきだった」というテーマと「森雪さんの(一旦の)死亡」というネタをテキパキとこなしておく。毎度のごとくちょいとあわただしくもあるが、それほど違和感なく物語を纏めてはいるなという印象っすね。

これでデスラーさんはまあ、マジモンの退場ってことですわな。少なくともこの作品で再度襲い掛かってくることはありますまいて。ま、続編があるなら「実はあの時何者かの手によって亜空間に去っていた」とかもできこっちゃないかしらね。

キャラ的になんかすげえひいきされてるフラーケンさん。原典でも敗北してないしなによりカントクお気に入りのキャラ(と中の人)だし、まあそらそうなりますか。ゲールさんは最後までどうも愛嬌があって憎めない…三千隻のうち彼についてきたのが三十余隻というのが実に涙を誘います。あとヤブさんもちゃんと生きる道を見つけてらしてよござんした。次元潜航艇のシーンでなんかチョーさんの声がしたなーとか思ったんすよねえ。

有頂天家族・12話。下鴨家の残る手立ては矢二郎兄さんしかない。しかし兄さんはカエルの身の上、何ができるワケでもなさそうだけども…そこは矢四郎クンの一策、酒を呑ませて捲土重来! 敵陣・金曜倶楽部に突っ込めェ! っちう話。偽叡山電車に変化して街中を爆走し、金銀兄弟の妨害も乗り越えてとうとう空まで飛んでしまう一連のシーンは結構なスペクタクル(プラス阿呆風味)で実によろしい。天狗の扇でちょいちょいと進むつもりが大突撃! の辺りはもう「やると思ったよ!」ってな感じで大笑いしたことだ。矢二郎演技の吉野裕行、大いなる見せ場っすね。酒呑んだ直後の「ぐええっ…」っちう喉の鳴らし方からして、見事であった。

さて、いろいろあって状況舞台は整った。狸の選挙と金曜倶楽部が隣り合わせ、ついでに隣には出来上がってる赤玉先生という布陣。わあいかにもこれからしっちゃかめっちゃかになりますよー、というお膳立てにワクワクすることですな。閉じ込めたはずの相手は目の前に居り子供たちは逃走し、と既に早雲にあっては相当ヤバい状況だけど、まだ向こうさんには母狸という切り札がある、のかな。ま、ともあれ次回待ちってことで。