ワタモテ/進撃の巨人/ヤマト

私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!・10話。夏休み明け、二学期デビューもせずにいつもどおり…どころか、席替えによって更に孤立具合を深めているもこっちさんの状況。今回は全体として、本人のダメ加減による自業自得コメディよりも、消極的なマイノリティである彼女が立ち位置を得ようともがくも上手くいかない、というペーソスドラマの風情が強かったかしら。

それは特に前半、席替えによる孤立(それでも周囲の人物に悪気を乗っけてこないのは徹底している)を経て校舎片隅のイスと机に安寧を見出してしまうっちうエピソードに顕著であるな。あの狭苦しいところに引きこもる感覚、どことなく胎内回帰というか戦略的後退というか、そんな感覚ってのは誰にでもあるような普遍的なものなのだろうか。少なくともワシにとってはあの安心感はすんげえよく判る。福満しげゆきの作品にもそんなネタあったっけ。結局その場所も奪われてしまうというオチまで含めて、なんか身につまされる具合としてかなり純度の高いエピソードやったっすよ。何なんだろうね、この嗜好性って。

後半は文化祭とクラブ活動。クラスの雰囲気にひたすらついていけず、その逃避先として新たな部を立ち上げようとするもこっちさんであり、相変わらずこういう中途半端な行動力はあるんだよな。いかにも既存の作品から影響を受けましたという「日常部」は当然受け入れられず、オチとしては真っ当に全ポシャではあるのだが。…途中の部活妄想の生々しさがリアルでねえ。いや現実的ってんじゃなくて「こういうドしょーもない妄想するよなあ…」という意味でのリアルっすな。主役じゃないけどサブで重要な位置に居てサポートするキャラとか、もうその何だ、現実では積極性も主体性も無いヘボオタができる限りの自己正当性をはばたかせた結果としてのキャラやよねえ。あああ、痛い々々。古傷が疼くことだ。にしても、こういうどーでもいいクラブって日本中に乱立したんだろうなあ…当時というか、今もだけど。

もこっちさんが部活立ち上げを決意したシーンのBGMはあれ、コナンかしら太陽にほえろかしら。大野克夫テイストのノリがなんかよろしい。この作品、こんな感じの音楽小ネタも多いよね。

進撃の巨人・23話。前半は憲兵団におけるアニの日々。それまで視聴者が見てきた調査兵団とはまったく風合いが異なり、やる気のないこと甚だしく汚職も堕落も横溢した組織である。その中にもマルロの如き疑義提出者が居たり何だりとまあ、いろいろあったりもするが、アニはそんな状況下にてもどこか淡々と職務をこなしているように見える。ほしたらそこにアルミンさんがやってきてごくひにんむを手伝ってくれと言い…っちうね。

てことで、アニの最大の秘密・女巨人の正体がバレる話。エレン以外で巨人と人間の双方を認識できた初の個人ですが、一旦明らかになってみてもなかなかのドラマチックさである。初めてってことは多分、これから先もあったりすんだろか。あるいはアニの正体バレによって一気に巨人化攻勢を開始するんだろうか。うへえ、こらアポカリプスじみた大騒動になりそうですがねえ。

言うてみれば今回は上記のアニバレですよーってそんなけの話なんだけど、そういう単純な構造だけに雰囲気づくりをかなり周到に準備してた感じ。アニがアルミンと再会した前後のシーンで、陽光の中から建物の影に入ってゆくカットがあるのは象徴的だんな。この絵から物語の流れがぐいと変わり、以降アニの進む道に平穏さは存在しない。…それまで感情表出の乏しかったアニが詰問を受けて笑い出すシーンは…そうね、やりたいこととその効果はよく判るけど、ちと作為が感じられたのはワシ個人の嗜好ではあるか。ま、劇的な効果は出てたのでよろしです。

憲兵団の悩めるおかっぱ兄ちゃんマルロに杉田智和、世間ずれしたイイカゲン姉ちゃんヒッチに渡辺明乃。どちらも手堅い演技でなかなかの存在感でやんしたな。あとアバンでチョイ役のアニ父・石塚運昇もワンポイントキャストとして充分でございます。

宇宙戦艦ヤマト2199・24話。戦い終わってイスカンダル。コスモリバースシステムを頂戴できるか否かの瀬戸際である。スターシャさんたちはかなり波動砲…波動エネルギーの武器転用に神経質であったが、それは彼ら自身の経歴にあったこと。コスモリバースシステムをわざわざ取りに来させた理由。その他諸々、割と過不足無く1話で語り終えててなかなかソツがない。基本的におとなしいシーンばかりなのでガッツリとした吸引力は乏しいが、やっぱ古代守兄ちゃんの遺書メッセージが出てくるとちょっとうるっとは来ちゃいますよね…って死に掛けだったのにスターシャさんとヤるこたヤってんのかいな! お体に触ります、もとい障ります!

てことでまあ、そういうお話。今までが戦闘につぐ戦闘だったおかげで、こういうちょっとした息抜き描写がすごくリフレッシュになりますな。船はやっぱり海の上、海の上ならそりゃ水着ってことで、狙い過たず健康的おいろけしーんを挿入してくる手堅さ加減に割と感心する。…もうちょっと尺があれば、こういう気の抜けたお話がもう一つ二つあってもよかったのになあ。

あと何だ、あのちょっと唐突なトップをねらえパロディは何だったのだろう。スタッフに共通の人とかいたかしら…とか思いつつスタッフロール見てたらうるし原御大の名前があった。確証はないが絶対水着シーンだと思いました。うん。