有頂天家族/銀の匙

有頂天家族・2話。赤玉先生のところにご挨拶に来るとは一応弁天様も気遣いのできるお人なんやなあ…と前回の続き見てたら、それは矢三郎さんのバケ姿でした、と。ああ、まあ、そうですか。とまあヘッポコシニカルなアバンからスタートし、今回は矢三郎さんのご家族とそのライヴァル家について、いくつかの事件。

長男と末弟は先週登場済みですが、今回初登場はまず次男の矢二郎兄さん。何か知らんが井戸の中の蛙として半隠居の身。とは言え性格的にそこまでヒネてもおらず、まあいいお兄さんではあるよね。んでお母んは井上喜久子声のヅカかぶれビリヤードかぶれ、というなんかワケ判んない趣味嗜好だけど、これまた子供思いで懐広いよいお母ん。つーか雷に怯えて橋の下で引きこもってる姿がかわいい。あざとかわいい。あとライバル狸一家の夷川さんは…うん、口も性格も悪いなあみんな。まだ姿の見えないお嬢さんは、口だけ悪くて性格は良さそうだけど。

てことでちょろちょろと事件を挟みつつ、まだ状況設定の段階ではあるな。どうも人間の人たち…弁天さんとかそっちの方がいろいろめんどうな感じだけど、どう絡んでくることやら。スジ的にはあまり言うこともないが、よく計算された演出といい画面設計といいなにかと炸裂する言語センスといい、見てる分にはとても楽しい。つーかこういう回りっくどい言葉攻め自体が割と好きなワシではある。金閣銀閣の兄弟に顕著だけど、ホンマイヤゴトのバリエーションが豊富だよねえ。おもろい。

●新番組・銀の匙荒川弘原作による農業高校アニメである。前作ハガレンは架空世界のファンタジィであったが、こっちはうってかわって現実世界が舞台。掲載誌を移しての連載はそういう背景の差異によるものだろうか。とはいえ、ハガレンにしてもその地に足着いた…言ってしまえば泥臭いともいえる各描写は顕著であり、そういうとこは本作にも通低するところではあるのだろう。

さて、アバンいきなり見学授業が開始中であり、その後もやたらとテンポ良くお話が進んでゆく。いささかトントンと進みすぎて淡白な印象もあるのだけれど、ノイタミナブランドとしては合ってるような気がせんでもない。こうして見るともやしもんとか、そういう作品に連なるものとして配置されてるんでしょうかね。…これはちと穿ちすぎな見方かもしれないが、こうして周囲はとっとこ進んでって本人は少々おいてけぼりっぽい感覚を覚えるという状況は、目的意識が希薄でノンポリ気味な自分にちょいとコンプレックス持ってる主人公・八軒さん自身の立ち位置を表出している、ように思えんこともない。一般の学校ではデキる方であろう八軒さんが、この舞台においては異質で外れ者。何故彼はわざわざこんな場所にやってきたのか、またこれからどのように自身の立場を再構築してゆくのか。その辺が今後のスジになったりするのだろうかね。

てことで、上記の通り1話としてはちと薄味で地味な印象もあるが、さしあたりおもしろそうなトコもあるのでちと継続してみよう。…あーそれと、あのヒゲマッチョ先生の内海賢二ねえ。あの声聞くとどうしても、ホロリと来る感情を抑え切れんわなあ。いくらかお年を感じるとはいえ、まだまだ充分に気迫のこもったお声と演技であるだけにねえ…。