テンペスト

絶園のテンペスト・9話。「お前は既に死んでいる」と言われて愕然とする姫さま、世界を救うことになんの興味もないが妹の復讐にはご執心のマヒロ、言うこと聞いてくれたら復讐を手伝ったるわと譲歩するサモン。ストーリィは何となく一週目の通常エンド…いや、もちょっと下の半分バッドエンド近辺に落ち着きそうな状況である。それでは主役の甲斐がねェってんで、ヨシノさんが一発逆転の一大フラグを立ててトゥルーエンドに持っていこか…というような、そんなお話。

今回はもう、ヨシノさんが一念発起してから以降のすばらしいドンデンに尽きるだろう。姫さまを救うのは回りくどいというマヒロさんに対してヨシノさんが出した対価ってのが「妹のカレシを教えてやるぞ、言うこと聞かなんだら教えたれへんぞ」という、そしてマヒロさんは「ちっくしょーしょうがねーなーほな言うてみそ」という…うん、そらまあ、サモンさんも「ありえんだろう!」と顔芸の一つもするわなあ。ラストで姫さまが芝居がかってモノローグするとおり、ここは妹・アイカさんと世界とが釣り合うという「理」が支配している場所なのだ。そういう無茶な流れをキッチリと提示する演出がすげえ面白い。ちょっとおなか痛い。

それにしてもサモンさんはここにきて魅力全開ですな。将来を憂うマスターマインド的な風情がどんどん剥がれ落ち、最終的には周囲の「嵐」に右往左往して顔芸連発する小物じみた苦労人。なんかスカしててイケ好かん兄ちゃんやなーってな印象だったのが、今やもう横に立ってポンポン肩叩きながら「うんうん判るよその気持ち」と声かけてあげたい気分である。敵戦車を供物にしながら無双してる槍兄さんや28歳無職の山本さんが登場した時も「おーかっこえー」とか思ってたけど、最後は全部サモンさんが持ってっちゃったな。…条件突きつけられてアレコレと迷ってるサモンさんのシーン、ぐにゃああああというSEといいぐにゃああああというBGといい、あれもう福本的演出そのままよね。おかげで余計に「あ、この人悩んだ末に貧乏くじ引くんだ」ってな雰囲気が濃厚に…。力也兄さんの演技もいいぞ!

あと「天と地との間には哲学では思いもよらぬものがある」っての、あれハムレットの一説なのね。少佐演説の元ネタを今知ったよ。