中二病/ガルパン/新世界より

中二病でも恋がしたい!・8話。姉(あるいは現実)と対峙するも膝を屈してしまうリッカちゃんは、そのまま電車に乗って現在の家に逃げ帰り、んでもってなし崩しにユータさんと「二人だけのお泊り」ってな状況になってしまうのでした、っちう話。

リッカちゃんの中二病は、辛い現実の圧迫によるものである。ユータさんは「逃げているのでも目をそらしているのでもない」と言ったけれど、確かにそう、逃げというよりも「折り合い付け」と称するべきだろう。ホンマにガチ逃げるならば引きこもるだろうしね。辛くてしんどくてもなんとか外界、現実世界との接触を保とうとする意図の表れが中二病なのであるな。今回はそれでも耐えられなくなって逃げちゃった、のだけれど。

しかしこの作品においては、中二病ってのはどうやら「止むに止まれずそうなってしまった」ものであり、かつ一時的な…やがては克服されるべきもの、のようだ。リッカちゃんにしてもユータさんにしても、その世界が好きで身につけたものではなく、他者や外界に対する齟齬を埋め合わせるように発露した一種の手段。これだけならば後ろ向きでモラトリアムな、どちらかと言えばマイナスのイメージを持たされた属性なのだが…。上記ユータさんの「逃げ出したのではない」という言葉が、そんな後ろ向きなコースからの脱却要素となるだろうか。さて。

二人きりのお泊り状況において、一応はコメディとしてオチもついてはいるのだが、リッカちゃんの恋愛心はどうにも抑え切れていない上に正しく自覚もできていない。元々中二どころか小学生のような幼さを感じさせるところがあり、外見も内面も年齢相応とはちょっと言いにくい未分化なありようを有しているリッカちゃん。やはり中二病は彼女にとってのモラトリアム的な枷なんだろうか。

ラストシーン、寝ているユータさんの髪の毛をついと払うリッカちゃんの手の演技がすげえ質感だったな。ここだけはそれまでの稚気を感じさせない雰囲気があった。

あー、えーと一方のくみん/一色さんね。うん、がんばってください。今んとこは(まだ?)ニギヤカシのコメディ要素であり、別にこのままニギヤカシのままでもちっとも構わないです。けどくみん先輩の天然はホンマのホンマなのかどうか。所々気になる演出はあったが、まだどうとでも取れる程度ではありますね。

ガールズ&パンツァー・6話。総集編ひとつ挟んでサンダース戦の決着。ストーリィ的なモノはほぼラスト5分、試合の余韻と冷泉さんのおばあ様話のみにしぼり、それ以外の尺をタップリ使って戦車戦を豪華に提示する。「見せたいものを見せましょう」っちうより「見たいもんを作る!」という意図が前面に出た、実に快楽原則まんまな構成でとてもよろしい。

てことで、「主役」たる戦車の魅力がガッツリと盛り込まれた回ですな。望遠圧縮で正面向きに並んでやってくる戦車の群れとか、車体上にカメラ固定して陰の変化でダイナミックな動きを見せるとか、主砲延長線上視点からのフォローショットとか、フェチい絵がてんこもりである。バトルの展開もチャンス→劣勢→一発逆転の巻き返し、と素直に王道。ついでに前回…前々回か、予告にチラっと出てたドラッヘも…いやこれ、改めて見たらヘンテコなヘリだなあ。かっちょいいぞ。

各キャラの立たせ方もソツがない。鷹揚で開放的なボスのケイさんに、汚れ仕事専門のアリサさん、無口なプロフェッショナルのナオミさん、という布陣がなんか米国っぽい。常に冷静で一発必中、負けたら負けたで天を仰いでニヤリと笑う…というスナイパーじみたナオミさんもエエけど、今回の白眉はアリサさんやよね。小ずるく立ち回るが一旦コケると化けの皮がはがれる小悪人キャラを、平野綾さんが楽しそうに演じておられる。大洗組で言うと桃ちゃんポジションかしら…って桃ちゃん別に悪人でも小ずるい人でもないけどね。今回は泣き出してよしよしされてただけでさ。つーかあざといな! 全くあざとい!

あとまあ…そらあね。チハタン学園はそら瞬殺やよね。そのチハよりも弱い八九式はどうしたもんだ、って話ではあるけどね。がんばれバレー部(とスタッフ)。

新世界より・8話。二年後、思春期真っ盛りの皆さんである。以前図書館さんが言うたとおり「ボノボ形の愛の社会」よろしくイチャイチャしてるのはよろしいが、何故か基本はホモセクシャルなのな。ほぼ100パー同性カップルなのを見るだに、何らかの抑制…遺伝的か社会的かはともかく…が働いているものと見える。その中にあってヘテロな感情を抱いて悩むサキさん(とあと一人)という、ちょっと現実日本とは異なる状況でも若者らしいドラマが出てきてんのはおもろくはある。

さて。どうやらその中にあって、シュンさんは何か知らん、自ら孤立を深めようとしているらしい。もとより大人びた性格の彼だ、全て抱え込んで一人でケリをつけようとしているのだろうが、当然主人公のサキさんは気付いちゃうワケでしてね。思い人だしね。…何でしたっけ、業魔だっけ。具体的にどうなるのかは判らんが、何か…他者とは一緒にいられない変容を迎えているのだろうか。そして「俺たちは監視されている」と伏線を張りつつ去って行く、と。

それまで異質な雰囲気をまとっておいて、最後の瞬間に心からの笑みと悲しさを見せるラストシーンが上手い。落差もあって「あ、シュンさん今生の別れを覚悟してんな」ってのが感じられるね。…にしても、ちょこちょこ良く動くが少し安定しない作画で、今回は誰だろうと思ったら作監・補佐あわせて十人も居た。何か大変そうねえ。