ああ逃れがたきカレーの誘惑

●カレーを喰いたくなったので夕飯はそれにする。自分で煮込んだトマトと赤ワインのスジ肉カレーもいいが、百円しない市販のレトルトカレーでも充分旨い。とにかくカレー味が付いていれば割となんでも旨いと思う、ワシは結構な子供舌だと思う。

設えるのがめんどくさければ「持ち帰り」のカレーを買う。専門店の本格的カレーも旨いけれど、本日の気分は牛丼チェーン店のカレーである。いや、いいのよまたこれが。一体どのくらい鍋の中でだらだら煮込まれてたのか判んないようなグズグズのカレー。具らしい具は溶けて形もなく、繊細なスパイスはとっくに飛んでて鈍い辛さのみが残り、容器の蓋の裏にターメリック色の液状油脂の層が広がるようなカレー。日によって煮詰まり具合に差があって、ある日は割とサラサラしているがまたある日にはもったりと焦げ臭さまで感じる、職人的調理姿勢とは無縁のジャンキーカレー。

そのまんまでもいいけど何か食べ出が欲しいので、市販のガルバンゾヒヨコマメ)のレトルト水煮パックをぶち込むのが好きだ。これでカレーに合ったもぐもぐ感が出てよろしい。個人的にはもうちょっと水分量が少ない方が好みだがまあしょうがない、一緒についてきたメシにぶっかけてスプーンでわしわしとかっこむ。ああ…いい…。一口喰って判る「あ、これ体に悪いわ」ってな油脂的風味。たまらん。

胃腸がそんなに強くないので、カレー喰うとそこそこの確率で翌日までおなかゆるゆるになっちゃうんだけど、喰ってる瞬間の麻薬的快感には逆らいにくいワシである。逃れがたき悪癖には必ず堕落的要素が付いておるのである。人って弱いものよねえ。