K/テンペスト

●新番組・K。アバンの尺を割とたっぷりと取り、これからどんな感じのお人が登場してくるのかを紹介する。クゥルでニヒルな赤髪リーダーとその仲間のなんかチャラい野郎どもがマフィアを襲撃、その後ゾロッとした制服のイケメン軍団と対峙して能力合戦をする、っちうとこまで。んでもって本編は輝く白い髪の毛の少年が、おちゃらけで現実感の薄い性格のまま先述の愚連隊の抗争に巻き込まれたり何だり…ってとこでヒキ。まあそんな話。

思わせぶりなネタやナゾのそれぞれがちゃんと興味を引くように配置してあり、あざとい造形のキャラ立たせも上手いもの。何よりやたらめったらカネと手間かけてるなあと思わせる画面と演出が実にゴージャスだ。個人的には中盤、教室でシロさんが弁当のおかずをもらい歩く辺りの軽妙な動きがなんかエエな。とまれ、有体に言って今期アニメの中でも屈指のパワーキャラ…ええと、強力な作品であろう。クォリティにおいても今後の期待感においてもあまり隙らしい隙がない。

…ただ、まあその、ワシの趣味からするといささかお洒落でカッチョ良すぎたわなあ。ちょっと胃もたれがしたのです。これは作品に対する揶揄や冷笑ではなく、単にこっち側の感性の鈍磨の問題ってだけの話。あまり積極的に継続しようという気にはならんかった。「ダモクレスの剣」とかいうてホンマに都市上空に巨大な剣を顕現させてるあの絵はすげえ面白かったですけどねえ。うーん、保留。

●新番組・絶園のテンペスト。冒頭、線の細そうな学生男女三人がふわふわとした会話を交わし、その後主人公らしき一人の少年が手帳片手にポエムを吟じ始めたにはかなりクラッとしましたです。ああなるほど、こっちもそういうモードで視聴せんならんワケね…とか思ってたらその次のシーン、下着姿でいいケツしたお嬢さんがなぜか海辺の樽の中から這い出てきて悪口雑言、一段落しておなかがグウ、というまあ…小池一夫のツカミレクチャーでも結構な点数を取れそうな面白エピソードで割と心を引っ張られた。ヘンなの!

えー、メインのお話は魔法を巡る世界について。主人公の二人の少年の事情もともかく、いくつか専門的用語はあるもののそれほど過剰でもない「判りやすさ」を持った語り起こしではあったと思う。画面のレイアウトやタイミングなどに余裕があり、結構非現実的なことも起こっているにも関わらずどこか静的な雰囲気を出している、ってな落ち着きがありがたい。あと何より上記のお嬢さんね。最強の魔法使いであり、気が強くて器量よしで行動力があってへこたれないバイタリティ持ち。うーん、なんか見てるだけで気持ちいいぞ。沢城声だし。あとどっから見ても胡散臭い「怪しい者ではございません」の水樹奈々もイイっすねえ。

ふむ、これはちょっと先々が気になる第一話だったな。あまり額にしわ寄せるような展開にならぬことを期待しつつ、続けてみてみよう。