Mr.インクレディブル

●録画してたMr.インクレディブルを見る。初視聴。いやーおもろかったなー、ってそれでシマイでもかまわないほどの良質エンタテイメントでした。秘密を持ったマッチョマンってことでトゥルーライズを思い出したりして(あっちは家族全員の秘密になるのがラストでしたけどね)。

別方向のベタネタを表裏一体で糊付けし、そこに発生するネタを拾っているのがおもろいよね。一つは「典型的なアメコミヒーロー」であり、もう一個は「フツーの人間的家族風景」である。スーパーパワーを持った理想的存在が会社で上司に嫌味言われたり相方の浮気を疑ったり車運転中にイザコザを起こしたり家族喧嘩したり仲直りしたりする。ヒーローがヒーローたりえないこの状況になった理由ってのが「自殺を救った相手からの訴訟」ってのがアメリカンディストピアで、これまたベタネタではあるよねえ。

そんな中にあってヴィランであるシンドロームさんのキャラは…うーん、なかなかに重層的だよなあ。ヒーローワナビーが夢と幻想破れて悪堕ちしたという同情もある出自と、ディズニーブランドにしてはかなり容赦なく相手を殺しちゃう「やっちゃったなあ」感の対比。その退場も含め、何かこう…見た人誰もが一言言いたくなるキャラじゃなかろうか。

えーあと、登場する女性陣がみなさんちょっとずつニッチな魅力があってエエです。ゴム奥さんイラスティガールの熟女的でかいケツ、謎の女性ミラージュのツリ目褐色肌白髪っちうあの造形。んでなんちうてもヴァイオレット姉ちゃんよね。思春期のイケてないお嬢さんであり、しかしウチでは弟とちゃんと口喧嘩できる人。貞子みたいなぞろっとした長髪によるメカクレ、恥ずかしいと透明になる能力、精神的防護シールドを発生する能力、どれもこれも「対人関係への後ろ向きさ」を増強する要素ばかりである。ラスト、一歩を乗り越えて新しい世界へと進んでるヴァイ姉ちゃんもエエけども、あのジメッとした陰性な姉ちゃんも魅力的でしたよ! ええ魅力的ですとも! あのまんまではお話が陰気になりすぎるのでキャラが変わらざるを得ないとしてもだ! うん!

吹き替えで見ましたがなかなか。三浦友和のお父んは、ちょっとアニメ的でない演技が魅力ではあるけれど、このネタならベッタベタのマッチョ声声優でもアリだったかな、とは思う。黒木瞳は申し分なし。そしてシンドローム宮迫博之ですが、戦国クレしんでも思ったけどあんたは吹き替えが上手すぎる。感情の乗せ方に声のハリ、そして笑い声(以前も言うたがワシ、演劇的に自然な笑い声が出来るっちうのがアテレコ能力の指標の一つだと思っている)違和感無さ過ぎだ。クレしんの時は蛍原さんの演技も自然で良かったし、何だろうねこのコンビ。