氷菓/もやしもん/夏雪

氷菓・14話。カンヤ祭二日目、今回も古典部皆さん様々なイヴェントに遭遇する。多くは高校文化祭をテーマにしたアニメらしいものだが、しかしちゃーんと通底して「謎の物品喪失」ってなミステリネタも進行中。あとついでに奉太郎さんのわらしべ交換は小麦粉をもってめでたくゴールしました。…これが全て姉さんの計画通りならすさまじいけど、まあそういう「強キャラ体質を身にまとう者」っちうこっちゃろね、姉ちゃんもね。

中でも一番アップダウンの激しいルートを進んでんのがマヤカさんやろなあ。漫研ではささくれた会話をし、料理対決では絶望的な状況に直面し、起死回生のワンチャンスをものにして優勝へと至る。盛りだくさんそのものの一日であり、これウチ帰ったら気疲れでへとへとになりますよワシなら。…料理対決でエライことになったのは主にちたんださんのせいなんですけどね。「どんな料理作るか気になります!」じゃありません。そら里志さんじゃなくてもツッコみますわ。

そのちたんださんは、再登場の女帝さんに人心掌握術と操縦法を学ぶのであるが…この二人の顔合わせ、お互いにヤケクソにかわいくて割と困った、いや困らない。お手したり過剰に迫ったりする犬的バカチンのちたんださんもエエけど、やっぱ女帝よね。普段のクールな雰囲気を見事にちたんださんに打ち割られ、かわいったらしい声上げたりあきれたりと魅力満載。もういいから二人して奉太郎を手玉にとっちゃえ。

んー、あとはまあ杉田さんですかね。狂騒的とはいえ一応京アニっぽく端正に構築されたドラマの中、一人だけやりたい放題の演技してて楽しそうやなお前。無論制作側からの要請ではあるんだろうけど、チェンジエレメントだの闇に喰われろだの私気になりますだの、アンタだけ超高校級のエンタテイメントぶりを発揮してどうすんねん。いや、実にエエけどさ。

もやしもんリターンズ・3話。大学地下に存在する古い隧道と発酵蔵の気になる「穴」。それらが気になって仕方がない葉月さんであるが、ある意味執着とも言えるその熱意の源は「自分に対して隠し事してるってのが気に入らない」である。これは裏返せば自分の能力や技量への自己懐疑でもあり、つまりは「私ってそんなにどうでもいい存在なのかなあ」という不安である。多分、だからこそ教授や蛍さんに答えを聞くという行為は反則なのだろう。自分で…自分たちでキッチリとカタをつけたいのだ。ま、最終的には空回りを認めて少々落ち込んだりもするのだけれど。

ちょいと上っ面っぽいとはいえモチベーションを持って邁進する葉月さんと対照的に、何やらアンニュイな状況にとどまってんのが長谷川研究員。うーん、やっぱこの上級生と下級生は対置されてるんだろうな。お互いに気分や立場をちょっとだけ交換したら、エエ結果が出たりするのかも知れん。

んでもって彼らとはまた別レイヤに居てんのが蛍さんと教授よね。教授はまァその、半分妖怪変化の域に足突っ込んでるからエエとして(エエの?)、蛍さんの達観ぶりはなんかスゲエよね。前シーズンで男性形態だったときはまだ人間らしい迷いやら何やらあったと思うんだが、何つーか…あの女装でホンマ、一つの殻をぶち破ったってことなんだろうなあ。

夏雪ランデブー・3話。割と順調に関係性が深まってってるように見えるロッカさんと亮介くんの様子に、もう居ても経ってもいられねェ幽霊ダンナさんである。お姉さんの言葉によれば「達観したところのある」人らしいのだが、駄々こねたりひざ抱えて落ち込んだりポルターガイストと化したりしてんの見る限り、どうもそんな風情のお人には見えない。無論そこには「そばに居るのに何もできない自分」という深い絶望、そこに現れた亮介さんに対する大きな焦り、があるからなんだろうけれど。

んでもって亮介さんの「自分は二番目でもいい」という言葉によって、皮肉にもダンナさんのことを思い出してしまったのがロッカさん。不用意な発言がヤブヘビになったと言えんこともないが、しかしまあ…遅かれ早かれそんな気分になることは避けられなかっただろうしねえ。ラスト、デートに誘われて我知らず泣いてしまったロッカさんの、何かよく判らん心の動きが判らんなりに何となく判る。あとこのときの「あ…んっと…」と言いよどんでるときのロッカさんがかわいい。三十路かわいい。

にしても、体を貸せだの呪ってやるだの騒動霊モードだの、アツシ幽霊さんはちょっと怖さの片鱗もあったりするな。いや、どこまでがマジなのかはよう判らんけども。…ううん、これはどうしたら丸く収まるのやら。