氷菓/坂道のアポロン/つり球

氷菓・2話。文化祭に向けてなんか活動しなきゃね! っちうえるさんと、とにかくめんどくさいことは回避して回避しまくりたい奉太郎さんのコンビである。それでも強引に丸め込まれて「古典部文集」のバックナンバーを探しに図書室にやってきた奉太郎さんだが、さてそこで提示された謎の書籍の謎が謎であり、私気になります! っちうお話。

相変わらずかなりどーでもよいネタのミステリ話。繰り返すが、ワシこういう「純粋に謎構造しかない」日常トリビア的なミステリはかなり好きである。「大事なのは真実じゃない、納得すること」ってのが象徴的な台詞ですな。いっそ殺人だの失踪だの、そういう「重い」題材が乗っかってくる方が苦手かもしれない。何やら思うところありげなえるさんの言動行動を見るに、これからちょっとシリアスな方向に行きそうな気配がありますけどね。それならそれで面白ければエエので、まあ。

冒頭の目覚ましシーンからずっと、何故か「時計」に対してかなり指向性の強い演出がされている。いくつもの壁掛け時計、腕時計、置時計などなど。何でしょうね、今回うやむやになった「文集バックナンバー」が時間や月日に関わるネタを持ってくるのでしょうか。…ラストに表示されたサブタイ曰く「The niece of time」。時の姪? はて? 検索してみると原作からそういうサブタイであり、さらに元ネタとして「The Daughter of Time」っちうミステリ作品があるようで。真実とは時が来れば必ず明かされるべし、時の娘こそが真実なり。ならば時の姪っちうことは「真実の親戚」か何かでやんすか。ま、ね、視点によって真実の姿も違いましょうしね。とまれ、以下次号ってことで。

坂道のアポロン・3話。偶然であったユリカさんに一目惚れ、何につけても気もそぞろな千太郎さん。じゃァオイラが一肌脱いでやろかいな、ってことで(主にりっちゃんへの下心から)いろいろ画策する薫さんである。しかしその過程にてりっちゃんの本心に気付き、悩み、でも自分の気持ちにもウソはつけず…ってもうお前ら青春やな! ニヤニヤすんな! 特に千太郎、ガサツな乱暴男が実は家族思いでオマケに恋にはとことんオクテ…ってもう、かわいいなボケ!

主要三人、どいつも気持ちのエエキャラしてんのがよろしいよね。一見消極的主人公に見える薫さんも、自分の気持ちを相手にちゃんと伝えることのできる男であるし。んでもって野郎どもどいつもこいつも、ホンマの気持ちを伝えるために音楽を使う、ってのがあざとくてたまらん。ちょっと古めかしい時代設定もあって、カッチリとした古典のような、なんというか折り目正しい青春のドラマを提示されているような気分になりますよ。

それにしてもユリカさんは、上手い具合にコミュニティの擾乱キャラを体現しておられるな。悪意も何もないだろうが、この人が普通に振舞うだけでみんなが曇ったり晴れたりします。前回、ユリカさんが薫さんを好きになれば恋愛ループになるなーとか書いたけど、今んとこそういう雰囲気にはなりそうもないっすね。いや残念でもなんでもないけれど。

つり球・3話。ユキさんのおばあちゃん・ケイトさんの体調は優れない。ご本人は至って陽気なのだが、ユキさんにとってはなかなかそう割り切れるものではない。何をどうしたって解決するようなものでもない状況に、ただ鬱々とするしかない精神に。…そんな彼にも、今はちょっとしたガス抜きポインツがあるんでやんすよ、っちうお話。

やってることはただキャスティングの練習ってだけであり、「あのバケツにルアーが入ったからってどうなるワケでもない」ってのも客観的にはその通り。アキラさんの「ああいう暑苦しいの嫌いだ」という台詞はそういうことだろう。でも、本人にとっては重要なことよね。だって畢竟、誰にとっても世界の認識は主観しかありえねーんだしね。人の死は覆らないが、それに対する認識は変わる。困ったとき、迷ったときに「ありがとう」が言えるだろうか。今はまだ宇宙人的精神ののハルさんが、誰かの…うん、誰かの死に出会ったとき、どう向き合うのだろうか。

ラストのキャスティング練習シーン、どーしようもないことに対するムチャなパワーでの押し切り具合、という意味でのハッチャケ作画がとても良かったなー。王子の「そういう時こそ投げんだよ」という言葉の体現といいますか。つーかお顔が上がり性モードになってましたが、あれ大丈夫だったの?

アキラさんはどーもMIBっぽい組織の人のようですな。ダック団? 目的も何もちいとも判らんが、まいいや。あとキャスティングの掛け声として採用された「江ノ島丼」ですが…やっぱスポーツの掛け声ってのは喰い物にならざるを得ないのだろうか。チャーシューメーン!