ペルソナ

ペルソナ4・最終話。元凶の足立さんに挑む面々、そしてその先に控えしは真の闇…という、非常に正しいクライマックスシーケンスでの最終回である。真のラスボスはあの、何故か中尾隆聖声のバックベアードというか大怪球フォーグラーというかな姿をした無意識と虚構を司る「神」ではあるんだけど、まァあれは物語を終わらせるために必要なギミックと捉えた方が妥当やろね。言動を見る限り善悪を超越した「そういうもの」であるっぽいし、完全に斃すのは不可能に近い存在なのではあろう。…ひょっとしてこのシリーズおなじみのお人なんでしょうか。まいいや。


てことで、実際の見所は先週に引き続いての前座ボスたる足立さんとのバトルではあるな。非常にゲスくて幼稚な理論を振りかざす悪、というなかなかオイシイ役所を気持ち良さそうに演じてる真殿光昭のおっさんが実によろしい。いやあ、生き生きしてんなあ。ラスト、現実世界で現実的に罪を贖うことになる、という一種甘いシメもこの作品らしくてよかったです。そこで思わず泣いちゃってる足立さんも含めて、っすね。


●総評。人気ゲームが元ネタのアニメ化作品。ワシゲームの方はよう判らんのですが、評判を聞くだに原作再現度はなかなか高いらしく、それは知らずに見ているワシでもだろうなと感じる。戦闘シーンのカットインや登場する異形のデザイン等の表面的なことから話のディテイルに至るまで、そこここにね。それでも部外者お断りっちう風情でもなく、一見さんにも問題無く視聴可能なツクリなのは有難い。


…これは原作再現による余波の一つなんだろうけど、やたらとお遊び的なサブエピソードが多いってのは特色だよね。話をチャッチャと進めて欲しい向きには不評かも知れんが、ワシはあの手の肩の力抜けたフィラー話が好きなので問題なし。特に後半、各人のキャラが出来上がってきてからだとさらによし。


全体の脚本については、実はあんまし言及するほどの感想を持っていない。流石にラストシーケンスに向けての流れは盛り上がることではりましたけれども。これ、ゲームでやったならいろいろとテメエで考えたところだろうなと思うが、ワシのように怠惰にアニメと向き合う人間にとってはこんな感想ですんません。いや、障害なくすらすら視聴可能な脚本ってのも技量の要ることではありますし、ここで否やも何もないですがね。付言するならば最後まである種の「B級っぽさ」を残していたあの雰囲気、ワシは割と嫌いじゃないのです。


あとはキャラですが、やっぱしどの誰よりもナルカミさんだよなあ。初めのうちはゲーム主人公的な控えめで没個性的な人かと思いきや、実は芯の強い性格だったり妙なところでお茶目だったりと意外性が多くてよろしい。終始デッドパン気味な落ち着き具合でちょっとズレた行動をとる、天然ボケに近いネタ群が楽しいやね。この人のキャラ設定だけで割と牽引力はあったと思う。


てことで、えー、原作知ってたらもっと楽しかったのかなとちょいと残念に思うような、ええ具合に纏まった作品だったなと。岸監督の前作、神様ドォルズもそんな感じでしたっけ。ギャグアニメが得意な印象を持ってたけど、最近はこういう原作付き作品でエエ仕事することが多いようでんな。ま、善哉。