ラストエグザイル/未来日記/UN-GO/ギルティクラウン

ラストエグザイル-銀翼のファム-・8話。土師声の連邦将軍に追い詰められてかなりヤバい状況のシルヴィウスご一統。あの手この手で包囲突破を図るもジリ貧な状態、最後の手段とばかりに隣国グラキエスの領空侵犯をやらかして「盤面ひっくり返し」による丁半博打に出るのである。何とか連邦艦隊はご退場願えたものの、事後の状況は芳しくない。…んでもってジゼの心中も芳しくない。ジゼさん、ファムと違って溜め込んじゃうタイプっぽいしなあ。


一面の雲を海に見立てて大規模海戦で1話、っちう趣向ですな。機雷に魚雷に障害物に、と潜水艦モノ一通りのネタを盛り込んだ派手なお話。古い話だが潜水艦見立て戦闘ってことで、ヤマトのガルマンウルフの回を思い出したりした。鯨取りだと勇んで出てってグラキエスヴァンシップを助けて終わるファムたちの行動がイマイチ首尾一貫してないので、タチアナさんたち艦組の方が主人公っぽく見えてしまうのはしょうがないか。このファムさんの行動がこれから重要な布石になるのは間違いないんでしょうけどね。


それにしてもグラキエスという国よ。完全独立のぼっち国家ってことでさて、と思ったらキャラにずーーーーっとロシア語喋らせちゃうという徹底ぶり。直線主体で密閉型というファムたち空族と対照的なヴァンシップがなんかエエし、なによりあの傾斜カタパルト! いやー趣味だねえ。全体国家っぽい異質感をグイグイ押し付けてくる雰囲気がよろしい。ロシア語監修とくれば当然のようにJenya姉さん。…ここだけホンマモンのロシア人使っても良かったような気もするが、まァ今後の展開で困るか。


未来日記・9話。承前、犬たちに閉じ込められた環境での頭脳戦ゲーム。謎の雰囲気を保ったまま飄々と場を支配してゆくアキセさん、対照的に思いつめた強さともろさを見せるお嬢さん二人、ヘタレつつも状況展開の鍵を握ってんのは流石主人公のユキテルさん、相変わらずヒロインにしては無茶なヤンデレと戦闘力にめまいがするユノさん…と面白い駒の配置でありますが、最後まで「おやあなたいらっしゃいましたっけ」な透明感を漂わせ続けていた白石の悪ガキさんがある意味一番おいしかったのかもしれない。…流石に今後、さらなるドンデンで「実はその間抜けは演技でした」ってのは無いよね? よね? …うーん、疑ってはおこう。


てことで一応今回は犬マスターのおじさん→ヒナタさん、という日記所有者が相手のアークだったのだが、それ以上に謎のアキセさんが存在感を横取りしちゃってたなーってところ。なんせ未来日記所有者を欺くどころか、あのユノさんの攻撃を軽くいなした上で「実はワシユッキーのことマジラヴやねん」ちうてドン引きさせる、というちょっとない快挙を遂げた人である。てかこのシーン、相手は百合ん百合んでこっちはモーホーとヤンデレというどうしようもない構図なのだな。そらまあ、白石の兄ちゃんが介在してくる余地はねえですわな。


最後んところでユッキーも「友達」を救うため、ユノさんの殺戮行為を止めさせるという大概な偉業を残すのである。その為に支払った対価は大きく、公然とユノさんを彼女と呼称せねばならなかったのだがね。「どうしよう取り返しの付かないウソついちゃった」という彼の独白にはかなり同情しますが、ま、ね。ウソから出たマコトという言葉もありますし、そのうちホンマに好きになっちゃうかもしれませんし。ちょっと想像つかないけれど…って、そういえばユノさんか彼に惚れている理由もまだありそうなんだっけ。そこが判ればユノさんの極端さも理解できるかもしれない。できないかもしれない。まいいや。


UN-GO・8話。「小説家」による幻惑話・後編。なんだかよく判らねェ状況で夢想していた前回は、その舞台を刑務所に置いた強制ロールプレイ空間だった。なので今回の探偵仕事は「幻想と現実の境界を破る」ことと「殺人事件を解題する」こと、この二つのレベルでの仕事が必要となる。そしてその双方とも、新十郎探偵の個人的な「状況」と少々深いところで関わりのあるお題である。これは物語上どのレベルでの「関連性」なのかしら。つまりその関連を仕組んだのは作中の存在か、それとも作外の…會川昇に大本を求めるべきものか。…「小説家」なんてな、自己言及的な存在が出てくるとまあ、この辺のことをモヤモヤ考えたりもするよねえ。「アイツラノベは書けないな」っちうのは、會川のおっさんの言葉そのものっぽいけどな!


案外というか何というか、割とキッチリ仕込みのバラシをしてきたなっちう印象。新十郎がエア支えで傾いてるとか何故か「女優」が手を触れないとかの伏線も利いてるし、その他のモヤモヤした引っ張りもちゃんと展開させている。また前回はあまり登場のなかったレギュラー組を使って楽しいバカ芝居やらせたり、そういうキャラ的なフックも間を置いた分だけ強められてるような。…カザモリ兄様のコビコビしたあざとさはどうしたものか。電脳空間で必要も無くエロコスしてたり(そういやあのボディである必然性すらねえのだった)、新十郎探偵を正気付かせる電撃攻撃に「おまけ」つけたり、いちいちやることがあざとかわいい。あとはリエお嬢様と泉女史のバカ芝居よね。お嬢様のとてもとても頭の足りない富豪探偵ぶりも然りながら、泉ちゃんのノリノリな従者ぶりがよろしい。かわいいぞオバハン。メガネ光らすな光らすな。


その中にあって今回一番謎の残ったのが謎の少女・別天王さん。因果曰く「神」らしいが、なんでまたそんなもんがこんなとこに…ってのは聞くだけヤボか。とりあえずこの子は(もう公開が終わっちゃった)映画版に出てきてたようで、そっち見といたらもっと判るところ多かったんだろうな。とにかくそのパワーはすげえ強力であり、集団幻覚を一瞬で現出させるという…ふうむ、海勝会長が手に入れたがってるってのはよく判る。真実を糊塗するのがお仕事である彼にとって、別天王さんの能力は是非とも欲しいものではあるだろう。逆の立場である新十郎探偵にとっては水と油。実際新十郎さんが提示してきた「真実」は、今までもそうだし今回はまたなおさら、関係する人にとって苦いものばかりである。海勝と新十郎は「その苦さをどうハンドリングするのか」という一点に於いて対称の位置にいるワケで。ふうむ、こらやっぱし会長がラスボスかなあ。前回「ラスボスかしら?」と思った小説家さんが案外アッサリと崩壊しちゃったからねえ。


てことで、前後編の解決話としてかなりエエ感じの話だったんじゃないすかね。やっぱこんなけのボリュームがあると、いろんな意味でのめんどくさい話も展開のし甲斐があるってことか。作る方は大変でしょうけどさ。うん。


ギルティクラウン・8話。夏合宿で水着で温泉で告白でごー、というまあそんなお話。まあ単なるテンプレシナリオだけじゃなく(勿論その「テンプレ」が意図的に頻出するタイプの作品ではあるが)、友人のヴォイドを使って作戦遂行でも失敗という型式的メインストーリーもあるんだけど、まあそれらのどっちが大きいウェイトを持たせられてんのかってのはどうでもいいことだろう。…んでまあ、ホンマに描きたかったことは一見軽薄な友人・ソウタさんについて、なのであるが。


空気読まなくて騒々しいソウタさんの行動にいらいらし、いのりさんに告白するっちう彼の行動をキッカケとしてとうとう一線越えて口争うシュウさん。しかしソウタさんはそんな状況を「やっと自分に関わってくれた」と喜ぶのである。ソウタさんのヴォイドがカメラ形をした「開く」機能を持つのは多分そういうことだ。心理状態によってヴォイドが変化するのならば、今ソウタさんのヴォイドを取り出したとしたらどんな機能を持つのだろうか。…てかかなり初歩的な疑問なんだけど、ガイ兄さんはなんで各人のヴォイド能力を知ってんだっけ。まいいや。


そんな友人関係の心情の流れの話ですけど、ソウタさんの上記の喜びはちょっと唐突だったかな。ちぇっくそシュウめ、でもそれはそれでエエこっちゃよね、とまあそんな辺りが落とし所のような気がするんだけど。まいいや。とにかく今回はいつにもましてシュウさんの優柔不断、踏ん切りの悪さ、後手後手な人当たりが顕在化しててなかなか恥ずかしい。相変わらずのダメ主人公ぶりでその辺安定してんなあ。