ダンタリアン/うさぎドロップ/夏目友人帳

ダンタリアンの書架・8話。調香師姉さん要らんものまで調合してしまうの巻。嗅覚は情動に直結しているので人を操れるのであり、麻薬みたいな香水が作られたら犯罪組織が利用しますよ、っちうね。…うーん、このアニメ作品の毎度な一面ではあるんだけど、ちょっと急ぎ足過ぎというか要素だけあって余裕が無いなというか。何でもかんでも匂いで状況を読み取ってしまう浮世離れした学者肌お姉さん…というなかなかにおいしい設定のゲストなのに、ちょいともったいない。敵キャラ二人もイケメン声+イケメン顔なのにさっさと退場しちゃうしね。


30分にまとめるなら要素を削って間合いをとった演出にするか、あるいは逆にネタを盛って前後編にした方がワシ好みだったかもしれない。ちょっと中途半端な印象が先に立ってしまった。ままならんのう。香りが人の心を支配するというネタ自体は面白かったんだけど(時代的にそぐわない気味なのはこの際どうでもいい)ね。…何となくアレだ、包丁人味平のブラックカレーとか思い出したりした。


うさぎドロップ・8話。じいさんの墓参りにて図らずも…いや大吉の積極的行動のせいでもあるんだけど、とにかく顔を合わせるリンちゃんの今親と元親のお二人さん、という話。


かたや昔のよすがを記憶に残そうといろいろしているリンちゃん、こなた過去を全て忘れたい…昨日何食べたかも、リンちゃんの誕生日も何もかも忘れたいと言う正子さん。過去の自分とその関係性に対し、向き合ったりするのではなくそのまんま「無かったこと」にしようとしている彼女は、とても弱い。というかその弱さを自覚しているからこそ、向き合えば自分がどうしようもなくなるだろうことを知っているからこそ封印してナシにしようとしているのだろうな。防御反応としては正しいこと、ではある。


じいさんの墓の様子を見て正子さんが直前に来ていたのを知り(お供え物としてペン先とインク瓶の花活け、っちう感覚もなかなかにアレだわな)、即座に走って彼女を見つけて「会わなくていいから陰から覗いてみたらどうですか」とか言い置いて去る大吉さん。もう何というか、すさまじい気遣いに気付きに行動力である。こないだの誕生の木の話もそうだよなあ。そういう話が出たからってんでわざわざ正子さんに訊きに行く、というねえ。このブレの無い誠実さを息苦しくさせないためのキャラ作り(普段のダメおっさんぶりとか)は、いくらでも理想が描けるマンガ/アニメとはいえなかなかのバランス感覚だと思う。


夏目友人帳 参・9話。文化祭と石妖の話、しかし今回のアヤカシはそれほど重要な役所ではない。実際ニャンコ先生が療養状態なのでここまで解決が長引いてしまった程度の弱いアヤカシさんなのだが、「長引いたこと」それ自体は夏目さんにとって結果的に良い機会とはなった。…てことで、基本的には「面倒な目に遭っているヒロイン(夏目さん)とそれを心配する周囲の者どものハーレム話」である。すまんちょっと違う。でもまあいいや。それで。


今回の石妖、弱いからだとか物語的にそれほど重要じゃないからってのもそうなんだけど、「夏目たちに対する好奇心」という行動原理以外よく見えないような描写が悪くない雰囲気。あまり意思の疎通が利きそうにない、人とはちょいと住んでるところが違うような雰囲気がありましたな。蟲師に出てくる蟲のような、ね。異質なものが交差するとき何かが起こる、と。今回の場合は、夏目さんにとっての現状認識を促すことになったワケですがね。過去の寂しさと現在の豊穣さを示す要素として、「自転車のケツを持ってくれる友人ができた」ってのは地味ながらなんかエエ話やな。ちょいとホロリ来ましたよ。うん。