ゴシック/海月姫/屍鬼

●新番組・GOSICK。OPの明るいミュシャ風な絵がよろしいね。…ゴシックなのにアール・ヌーヴォーなの? って気はするが、時代的な雰囲気を出そうってことかしらん。まいいや。てことで本編、ヨーロッパの架空の小国に留学中の日本男児・一弥さんと、巨大図書館の上の植物園に住まいする謎の少女・ヴィクトリカさんが主人公の…ああこれ、安楽椅子探偵モノなのか。なるほど。


初っ端だからかあるいは作品のカラーか、推理モノとしてのギミックはあまり凝ったものではない。ちうか状況説明されたら誰もが真っ先に疑うコトがそのまんま正解ですもんね。しかし多分、その辺ははこの作品にとって一要素に過ぎんのだろうな。基本的にはアレだ、なのだ口調で喋るクールなロリババア風ながら退屈すると床をごろごろ転がったり、汽車や町並み見てキラキラしたりするヴィクトリカさんを賞玩するのが第一義なのだろうな。まさにそこを推すにあっては充分なパワーがあったっすね。


キャラはボンズらしくイヤミのないレヴェルでまとまっており、また作画の質も安定してそう。割と簡単な推理仕掛けも、アニメとしてワシのようなボンクラがぼうっと見る分にはエエぐらいかもしれない。とりあえず継続してみよう。…しかし何だ、1924年頃に「学校のプリント」ってあったんかね?


海月姫・最終話。蔵之介さんちでドタバタやってたら天水館は取り壊し状態に! うそんまだ中にマンガ家さん居てたやないっすか、と思ったらフェイクでした。しかしそれで取り壊しの危機が霧消したワケでもなく、相変わらず状況に変化は無い…いや? ちょっと変化してまへんか? というお話。


うーん、ちょっとシメに向けて詰め込みすぎって感じはしたなあ。稲荷さんは童貞修さんのこうかはばつぐん過ぎる攻撃にヤられておりますし、月海さんのドレスも何やらブランドへ向けての一歩を踏み出しつつあるし、そこへチエコさんのお母ん帰国って要素もあるし。それにシメとは言うがこれ「新たなステージに立ちました」って段階ですよな。これから物語は更に続いていかなければならないような状況。ここで最終回ってのもちと物足りないが…これもまだ原作が溜まってないってことなのでしょうかね。ま、一応の区切りは付いているのでそれほど尻切れ感は無いのだけれど。


一般募集のファッションショーみたいなので大注目を受ける月海さんのドレス。…虚構内において「素晴らしい成果物」を表現するのはある種鬼門であり、しょうがないところではあるのだけれど、他のドレス群に比してことさら素晴らしい! とは見えなかったのはちと残念。そこはもっとベタに、効果線やら効果音やらを使っても良かったのではなかりましょうか。…あと、最後に結構なドレスで出てきた月海さんは…やっぱキッチリムダ毛処理したんだろうな。だろうな! うん!


●総評。安穏としたオタコミュニティに乱入してきたオシャレ女装男と、青天霹靂のコミュニティ崩壊危機。しょうがないやってんで、メガネとったらエエ女なオタ主人公が仲間やラブっぽい人たちとともにバブル姉さん(に象徴される社会)と対峙する…というお話。ノイタミナらしい丁寧でバランスの取れた作品であり、ジャンル部外者であるワシにも優しい取っ付きやすさやよし。


テンポ良く進むストーリーはとても快適なんだけど、反面もうちょっとキャラたちの日常回があってもなとか思ったり。原作つきなのでそうそう改変もできへんやろけど、そうねえ…一話見た段階では「ははあ、このヘンテコメンバーたちが毎度々々いろんな騒動を巻き起こすのだな」みたいな印象だったのね。一話完結な作品というか。実際には早々に「天水館消滅の危機」という枠構造が成立しちゃったので、何というか、2クールアニメを後半部分から見ているような「もったいなさ」を感じた。ま、それは欠点というよりはこちら側の過度な期待なのですけれども。


キャスティングについては磐石と言ってよいだろうな。主役の花澤香菜さんはオカルト学院に引き続き実に見事なコメディエンヌぶり。特に切羽詰った状況でのおたおたや情けない悲鳴など、ヘッポコキャラとしてすげえキャラが立ってて顔がほころんでしまう。それをサポートする助演陣も力量確かな中堅どころがズラリ揃ってて安定感が半端じゃない。


千葉繁ゥな千葉繁やシレっと最低な子安も良かったが、やっぱ稲荷さん役の北西純子さんかなあ。メイン演者の中でワタシこの方だけ存じ上げなかったんだけど、設定のアレさと相俟ってなんとも良いキャラになってましたねえ。田中敦子とか山像かおりラインのちょっとツヤのあるお姉さん系なお声は、吹き替えじゃなくアニメの方では割と少ないので、今後とも憶えておこう。あと、斎賀みつき姉さんは…もう何ですな、この手の役はサイガーさんの独壇場っすな。言うことなんにもござんせんわ。


てことで、うん、流石ノイタミナ枠だなあ、ってことで。屈託なく楽しませて頂きました。評判よければ続きもあるだろうけど、原作のたまり具合もどうなのかってとこもあるか。ま、楽しみにしとこう。


屍鬼・最終話。もうワヤクチャとなった村において、折しも上がる火の手は一体誰の行為によるものだろうか。やっぱナツノさんかしら。アキラとカオリの姉弟を救い、辰巳さんの命脈を経ち、そして望みどおり全ての異形を滅し去ることに成功し、と三面六臂の活躍のナツノさんでありますな。無論この「葬り去るべき異形」ってのは自分自身をも含むワケで…。うーん、ダークヒーローやなあ。


主役といえばあと、メグミさんですわね。物語当初からこの村の影の部分に中てられてたような存在であった彼女。やはりダークサイドながら、この人の場合はついにダークなまま退場してゆく役割である。こんな村消えてしまえ、私は居なかったんだ! という最期の台詞は確かに、彼女の立ち位置を表すに端的なものであろう。ま、良い退場シーンを貰った、といえるのではなかろかな。…トラクターに頭蓋を踏み潰される、という描写を「良い」と言えるなら、ですが。


そしてラストは焼け落ちエンド。いやあ、恐怖物語のラストとなればやっぱコレよねえ。浄化の炎と言うべきか、紅蓮の地獄と言うべきか。神からの恩寵を失い、同時に神の制約からも自由となったスナコさんと新生人狼たる清信さんは、その炎を免れて夜の闇に去ってゆく…とオープンエンド気味にシメ。うん、余韻残したよい幕引きだったな。


●総評。日本の田舎が舞台の大河ホラーモノ、ですかね。とにかくもう、その筋立てから想起される地点から大幅に乖離した所にある藤崎竜のキャラデザが強烈で、スタートしばらくは「いやエエんかなこれホンマ」とか思いつつ見ていたのだけれど。終わってみれば…まあ、全面肯定これしかないとまでは言わんが、かなり作品として成立していたな、てな感想。登場人物の多いこの作品にあって、イッパツで印象に残るこのデザインは理解の助けになりましたしねえ。


原作マンガもその原作小説も長大な作品であり、ある程度しょうがないとは思うけれど、序盤から中盤にかけてのダレ場はちと辛かったな。初っ端こそ上記デザインのインパクトで引っ張られたものの、それも落ち着いてお話が仕込みモードに入った近辺が特にね。それでも、マサオさんだの尾崎さんとこのしぇくしー看護婦だの、どうもスッとぼけた…本気なのかギャグなのかよう判んない描写はおもろかったですが。


尾崎医師の反攻開始、特にお祭りで人間側が状況に気付いてからは急転直下の展開でよし。ちょっとばたついたキライもあるが、このくらいの方がえらいことになった感が出てて良いと思うし。


てことで…うん、昨今あんましないタイプのアニメであり、なかなか楽しかったですよ。しかしどうなんだろ、マンガのファンはともかく、原作小説のファンの方々はどういう印象なんでしょうね、これ。ワシはこのアニメから入ったので「こういうもん」として受け止めているのだけれど。しかし、もっと大人しいキャラデザで見てみたいっちう気もないではない。まそれは蛇足。