それ町

それでも町は廻っている・最終話。前半のすっとこどっこいなホトリさん話はともかく、後半の臨死体験話はちゃんと一区切りらしいエピソード持ってきたな、って感じですな。とりあえずAパート、おじさんから貰った万年筆を魔改造しちゃってどうしようなホトリさんが、ミステリ小説の賞金で一発逆転を狙うお話。謝るとかイイワケするとかじゃなく、賞金でなんとかしようと考える辺りが実にダメな子でよろしいなあ。落胆したホトリさんに「ほら、フエやるよ」と慰撫する紺先輩と、力なくぴいぴい吹きながら帰るホトリさんが両者ともにバカかわいい。…あとミステリ小説再現シーン、デフォルメされると紺先輩は鯨井先輩そのまんまやな。


当然ながら落選するホトリさんであるが、そのショック状態に突っ込んでくるトラックにてあえなく死亡してしまう…死亡…えええ、死んじゃうの!? てことで後半は死後の世界編。どこか現実離れしてるようで妙にお役所+市民的な「日本の天国」描写がおかしい。天使の輪っか等は無いのかと訊かれ「とっくに廃止しましたよ、昭和でね」と笑う案内人さん…そーか、ごく最近なのか。


そういうすっとぼけたクスグリを入れつつ、ホトリさんが死んだ後のみなの様子等、ちょいと心動くような要素も盛り込んでくるワケで。偶然生き返られると判り、現世に戻るホトリさんのシーンで「残念だけど、こっちの記憶は消えちゃうんだよ」という案内人さんとかね。上からのショットで表情が見えない辺り、やっぱこういうのは上手いなシャフト。心霊写真プリクラの仕込みとバラシで上手いことにシメつつ、ザショウマストゴーオンでありひとまずおさらばでございます、か。…うん、面白かった。


●総評。なんかありそうななさそうな懐かしいような新しいような商店街を舞台に、ホトリさんと彼女をめぐる人々についてだらだらと描くスライスオブライフなお話。無闇にドラマチックでもなく過度に雰囲気だけでもなく、ネタに対する絶妙な距離感がエエ感じですなあ。こういうタイプの話ほど作家性が顕著に出てくるのだけれど、うーん…ワシ、かなり波長が合ってしまいましたわ。


ファンタジーとは真逆の地に足ついた日常ドラマではあるんだけど、その「地」自体がビミョーにヘンテコな所に構築されてんのですな。結果としてその上で歩いたり転がったりする人を見てるだけで結構なオッドボール具合を楽しめると。イヤホンマ、一体次回はどんなお話をしてくれるのだろう、と寝床の中でお話をせがむ坊ちゃんの如く毎週楽しみでしたよ。…何より主人公ホトリさんの、頭の回るバカっぷりがウザかわいくてよろしい。まっこと、こういうキャラの横にはタッツンのようなメガネツッコミさんが必要であることよ。


初めの数話辺りは少々新房的演出が悪目立ちしてる雰囲気があったんだけど、こっちが慣れたか向こうが控えたか、回を重ねるごとにあまり気にならなくなってきた。エピソードによってはその独特な演出がお話の流れに上手いこと合ってたりもしたしね。…今期の新房アニメはいずれもそんな感じで、結局ワシ普通に見られた。エエことだ。


んー、今期のアニメの中でもかなりワクワクして見た作品の一つだったなあ。もし二期があるならゼヒ拝見したいと思います。