崖の上のポニョ

●ポニョ、今見終わり。ワシ初見ですけど…いやーこれ、極上の妄想映画にしてディザスタームービーやんかいサ。何か気に入らんか?


世界の終わりだとか恋愛譚だとか必死のアクションとか、それらが手段じゃなくほぼ目的としての要素しかない。つまりその、「大災害という要素がこの映画にとってどういう意味を持つか」とかいったことがほぼ、無いんよな。ただそこにそれとしてあるのみ…ただエライことになった絵面を、なんかラッブラブな二人を、ドすげえウェイブライディングとカーチェイスを描きたい、っちう強烈な意志があるのみだ。…最高やん?


とにかく水と波の表現がすごい。エエワルイじゃなく、すげえ。あの大エフェクトを中盤に持ってきちゃうというワケの判らん構成もアレですけどな! まあ後半にも海の観音サンのスペクタクルシーンがあるんですけどな! あと水で言えば、バケツに水を張るシーンとかで飛沫を線のように表現する手法、あの抽象的なやりかたはちょっと良かった。今までの宮崎映画の作品世界じゃやれんよな、あれ。


それにしても、正月にパンダコパンダの雨降りサーカス見といて良かったよ。水没都市とか家からボートで乗り出す絵とか、後半はほぼあの辺のイメージの再帰っすよねえ。てことはつまりワシ大好物。水面の下に見える道路やお家ってだけでメシ三杯はいける。


上記水没世界といいエッジの取れた雰囲気の線といい妙に原色志向な画面といい、ホンマに夢のような…妄想世界っぽい作品なんだけど、ラス前の「試練のトンネル」という描写はとりわけナマっぽいな。あからさまに非現実世界へのゲートってな描き方やんね。ポニョさんが「ここ嫌い」ちうてたのは何故だろう。イニシエーションとしての苦痛を感じでもしたか?


てことで、主題としては「お父んはつらいよ」ですね。うん。


キャスティングについては…うーん、所さんは意外と悪くなし。もっと声が深い人でもとは思ったが、そうなるとちょっと悪役っぽすぎるか。あと流石に、妹たちぜんぶ矢野顕子はムリがあったような気がしました。なんか、ヘンです。