カジノ・ロワイヤル

●久しぶりに映画サイズの映像作品を見たよ。最近怠惰カマしてるからなあ。てことで、カジノ・ロワイヤルTVにて鑑賞。ははあ…なるほど、これは確かに面白いし何のかんの言いたくなるわェ。これ見ると今までの007映画がいかにパターンに乗っかってたかがよう判るなあ。そして無論お約束ってのはちっとも悪いことじゃないし、かといってそれを打破した作品がつまらんワケでもない、んですがね。


以前酒呑み話で知己にこの映画の話を聞き、それは例えば旧来の時代劇に対する「七人の侍」みたいなもんですか、と伺ったらしばし考えて「近いかもしれない」という返答でしたが。アッチは先駆者でありコッチは時代の趨勢に乗った、という差異はあるけれど。…つまりこの「リアル」さはヨシではあるけれど、世間そればかりになってもつまらんなあ、ということで。ま、そのヘンはワシがぐだぐだ言うことでもないでしょうか。


それにしてもカッチョよい映画やねえ。アバンのアクションシーケンスがとにっかく泥臭くて必死でスマートじゃなくて(敵をボッコボコにして流しに顔突っ込んで殺すボンド、ですもんね)、このシーンだけで映画全体の雰囲気が判る。劇中でも言われてたように、攻撃的で肉体的でゴツゴツとした、そんなアクション映画。虚々実々の諜報活動なんてのは割と後景で、そこらへんの駆け引き要素は中盤ガッツリ取ってあるカジノシーンで補填する感じ、の…スパイというよりはアクション映画。


冒頭マダガスカルでの追っかけがとても良かったなあ。あの追われてるゴツい黒人さんのすんげえ必死なスタントぶりが実に、痛そうでよろしかった。


…でもコンピュータはいちいちピコピコ音が鳴ってムダにアニメーションするのでした。もうみんなパソコン持ってんだし、そこはもっとリアルでも良いのと違うか。情報収集すんのにぐぐってるシーンは意外とそんなもんかな、って気はしたけど。昔だったら大量の新聞をガサガサやってる、みたいな感じですかね。


声優仕事は地味にして手堅く、映画の雰囲気によく合ってたかな。ダニエル・クレイグの…ええと、藤真秀さん? 申し訳なくもよく存じ上げない方だけれど、ガチっぽくて男くさい雰囲気でなかなか。吹き替えと舞台俳優がメインの方のようですな。ヒロインの冬馬由美さんも妖艶ビッチの山像かおりさんもエエが、ここはやっぱしル・シッフル役の藤原啓治兄さんやろなあ。爬虫類的でネチこくて得体の知れんキャラがよく出てた。実際の声がそんな感じなのかはよう判らんけど。検索してみたらDVD版は中多和宏か。あ、それも良いかも。


てことで、充分におもろかったっすわ。見た後でコンビニ行くときなんか、眉間にシワ寄せて口をキュッと結んで、キビキビ動くふりしてみたり。ダニエルさんの物腰はなんか、マネしたァなるね。