化物語/ザムド

マジンガーはまた後で。チラッと見て「あ、投げっぱなしだ」とは思いましたが、今川監督らしいって以上に「確かにダイナミックプロらしいや」って感じがしたりしてね。…劇場版でもやるつもりなのかな。


化物語・11話。さて、この作品のド初っ端から出続けてきたメガネいいんちょ担当話。常に完璧、いい子で親切な…そうねえ、いかにも「何か抑圧してますよォ」という印象を与え続けてきた彼女。抑えられてきたもう一人のいいんちょさんが今視聴者の目の前に現れる。ああ、窓に! 窓に! にゃはははは笑いのねこみみ娘が! あざといあざとすぎる! あざとーす!


てことで、実にこの作品らしいド直球のねこ怪異さんの登場である。忍野さんは意図的に味気なく「多重人格」だと表現するが、いい子でいようと無理をして抑え続けた反跳の人格がねこみみ娘ですよ。その上エナジードレインのバンシー(あるいはサキュバス)娘ですよ。こういうバカ定番な設定をうまい事料理できますぜダンナ、という自信があるからこそのチョイスではあるのだろうなあ。


いいんちょで語り起こし、いいんちょを各話の導入として使い、いいんちょの怪異譚でシリーズをシメる…ってことなのかな。さて次回は。


●そして連続の化物語・12話。走る車の中に居ると落ち着く性分でね、ってことでヒタギさんがアララギさんを親父の車で連れ出してデートを強行し断行し推進する話。シリーズのシメに相応しいちょいとおセンチでキュンとするエピソードですなあ…ってあれ? メガネさんは? いいんちょさんの話は? 何もなしなの!? …えー、ま、そうですか。エエけどさ。


いやまああんま良くなくて、いいんちょさんの猫怪異譚はアレで終わらせるにはどうもディテイル不足でモヤモヤすんですけどね。頭痛がどうとか何とか、それはどうなったの? 投げっ放しドイツ人? なまじっか今回のシメ話が「上手いこと言うなあ」的に小ぢんまりと纏まってたので、余計になんかモヤモヤします。確かに独特すぎるデレ状態を見せる戦場ヶ原さんはかわいいし、立木文彦のお父んはぶっきらぼうでエエし、ここにきてエンディング曲につなげてみせる宙のまにまに的なお空エピソードもエエ…んですけどねえ。


てことでまあ、総評。一話ン時も言うたとおりワタシは新房監督の作品は割と苦手な方でありまして、それはそのあまりに過剰なスタイリッシュさがワタシの感覚にはちと重いから、であります。今回もまさにそのパターンだったのだけれど、何だかんだで楽しく視聴できたのは…ツッコミと先への期待、という両輪のフックがあったせいかしらねえ。とにかく、シナリオの部分で「おお、これはこの先どうなんのかしら」てな原初的で単純な鼻面引き回し作戦にまんまと乗っちゃった、ってとこが大きかったと思う。そしてその上で、様々な過剰ディテイルもなんとか総体としてお付き合いさせていただいた、と。


それだけに、後半(特に蛇娘さんの二話目)の強引さの喪失…まァ、ちょっとした停滞加減は辛かったとこはあります。んーしかし、これは第二期とかそういうものの含みってことなのかな。とりあえず投げっ放しな材料がまだまだありますので、それを解題する(あるいはすっかり解体する)ような続編とかがあるならばまた、ちょっと見てみたいなとは思いますがね。


あーあと、首尾一貫してSで不思議ちゃんでヤンでデレ、というヘンテコエロキャラを演じ切った斎藤千和さんが突出してエかったです。うん、どんどんこういうキャラやってって欲しいと思います。ケメコもエエですけどね。


亡念のザムド・25話。威容を顕す皇帝に対峙するアキユキ、殉教者たちの行動に納得いかないヤンゴ、そしてサンノオバと再会し心根を曝け出すナキアミ、たちのお話。サンノオバさんの常に超越的な物腰で、それに対照的なナキアミさんの情感が際立っているな。どちらかと言えば感情表出が苦手なキャラであるナキアミさんだったけど、ここしばらくはよく笑い泣きしてたものね。


そしてアキユキさんと皇帝の戦い。それはお互いを滅するものではなく、ただ戦うことしかインターフェイスを持てない関係だったから、でしょうな。名を求め実を求める皇帝に対し、アキユキは自らの名前を与えることで彼に容をも付与する。皇帝は救われただろうか。姉の心を知り、クジレイカは救われただろうか。…割とお邪魔虫っぽい登場→退場のクジさんでしたけど。


ラス前だけあってなかなかの盛り込み具合。各々のキャラのドラマがグッと支えあっててカタルシスもある。ま、ちょいと判りにくいのはワシの頭のせいでしょうけど。あと皇帝との戦いはまた、メリハリと速度とスケール感のある濃厚な作画で、これまた楽しかった。エフェクトの凝りようにちょっと目を引かれたな。