そんな餌に俺が釣られ熊

●へとへとになりつつの業務帰り、電車の中で職場同志と一緒になりつつ「熊が出たねえ」「熊だねえ」と。…いや別に熊っぽい人が出てきたワケでもないのだが、いきなり襲いかかる暴力的な状況に誰かがポツリと「あれは山道の熊だな」と言ったのが妙に的確でしてな。


やはり我ら死んだふりでもしとくべきだったか、と言い合ったのだが、誰か「でも熊って死んだ動物の方が好みだったりすると聞く。わざわざ闘って殺すという労力もないのだし。何でまた熊には死んだふりがよろしい、ってことになりしや」と言ったら先輩曰く「そらお前アレだ、ごく稀な状況…せやな、たまたま熊が満腹で死んだふりしても襲わなかったとか、そういう人の言葉しか世に残らないからに過ぎん。「いやあ俺熊相手に死んだふりしたら喰い殺されちゃってね」と喋るヤツは、居ないだろ?」との由。なるほど。


ふと思い出したのはいつぞや戦記モノだか何だかで読んだ話。WWII頃の一部のパイロットの間では「被弾したら速やかに機首下げ急降下すること」っちうセオリーがあったそうな。風圧によって被弾火災を消火できるからだ、現にホレ俺はこのメソッドを使って生き延びた、というワケだ。その著者言うにそういう意見しか見当たらないのは当然だ、だってそれで助からなかった大多数は「やっぱ墜落死したヨ! ダメだったネ!」という報告すらできなかったのだから…と。


ま、何が真実なのかは結局ワシにはよう判りませんがね。でもネタとしてオモロイ方に釣られてみたいワシもいるのでしてな。まいいか。