風の裏側

●ミロラド・パヴィチ「風の裏側」。

という本がある。かなり変てこな代物でして、この本には表裏がない。どちらも「表紙」のガラでどちらから開いて読み始めてもOKなのはもちろん、奥付もISBNバーコードも何もかも対称に配置してあり、ホンマにどっちが表、という区別のない回転対称な製本になっている。二編の物語が載っているワケですが、それらはお互いに交わりそうで交わらなさそうでという雰囲気のまま、本の真ん中の青色の紙で隔てられている…という体裁。


パヴィチの著作は他に「ハザール事典」っちうのを読んでて、その名のとおりハザールという国に関する事典形式の小説というこれまた天邪鬼な作品であり、序文読んで各項目読んであとがき読んで付録読んだら全ての要素が繋がって幻想の大伽藍が目の前に立ち上がる…というまあ、実はワタシこっちの方に偏愛が行ってるんですけれども、でもさかさま文字を描くネタとしては「風の裏側」の方が適してるよな、ということで。


…この頃はこういう変てこな本ばっか読んでて楽しかったなあ。レーヴィの「周期律」とかレムの「完全な真空」とか…そういうのに詳しい先輩が居たってのもあるが、今は金と余裕がなあ。ああ、またヘンな本を貪りたいことだぜ。


※参考にアマゾンのを貼っとこ。こんな本です。

風の裏側 (海外文学セレクション)

風の裏側 (海外文学セレクション)

ハザール事典―夢の狩人たちの物語 女性版

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