ドルアーガの塔

ドルアーガの塔 〜the Sword of URUK〜 最終話。悪神と化した兄と戦う弟の話。山一つ街一つを強大な炎で焼き尽くしてまでのニーバ兄さんの希望とは、神に抗うことでも悪を成すことでもなく、ジル弟さんの刃を受けること、なのであった。実にハタ迷惑な兄弟喧嘩ではあるが、「神々の戦いも所詮兄弟喧嘩みたいなものだ」と相対化しちまったニヒルジルさんの言葉どおり、世の大惨事やら超奇跡やらもそんなものなのかも知れない。…そうかなあ。


とりあえず、神々の抗争がアスロック対潜ランチャーの撃ち合いみたいなものだ、ってのはよう判りました。すげえな。ま、マジモンのイシュタルもアフロディテの元ネタな美の女神であると同時に、やったら攻撃的な女神さんでもあるしねえ。他の文化では邪神/悪魔扱い(アスタロト)されてたりねえ。うんうん。


あと、犠牲殿を務めたウトゥとファティナ、「この戦いが終わったら結婚しねェか?」「やァよ」「だよな」の会話が何気にエエ感じでした。死亡フラグクラッシャーとしてのくすぐりもさりながら、前期のニセ第一話がお約束をモチーフにしたパロディだったことを踏まえると、余計にね。エエやん、死に赴く前の会話としてはさ。死なんけど。あーそーだ、ジジイギルガメスまでフォローしたラストシーケンスでも出てこなかったウラーゴンとチワさんのコンビが気になるよ。気になるよ。多分どっかで平和に…あるいはバイオレンスに暮らしてて欲しいものだ。


総評。ちょっとヘンなバランスのRPGアニメであり、ギャグにもシリアスにも一辺倒方向に進むには照れがあるような、そんな距離感を持った作品ではあった。要するにどっちつかずじゃん、と言わば言えるようなアニメだったのではありますが、いや、ワシは割と好きよ? こういうの。特にこの作品の場合、カッチリとしたキャラデザインと作画の雰囲気が、プラクティカルジョークに近い即物的なバカギャグとミスマッチな魅力があったですしねえ。


あと、そういう「細かいことは気にするな」っちう思想が登場人物の根幹原理として盛り込まれてたこと、これも案外好きだ。何で冒険するのか? 冒険好きだから。何故暴君となったのか? それまで名君だったから。こういうトートロジーに近い属性の付与は、使いどころを間違わねば強烈に効くものですしね。そんな要所々々での説明の欠落させ加減が、奇妙に神話伝説的な雰囲気を…これまた俗っぽい演出のミスマッチを抱えつつ、出していたと思う。


客観的に見て粗も多い作品だったと思うけど、ワシとしてはそうねえ、「チャーミングなアニメ」ってな評価がしっくり来るな。その「照れ」も含め、楽しかったですよ? うん。