夏目/ドルアーガ/ソウル

続 夏目友人帳9話。桜の季節に語らう怪しの者と人の姿、壁に根を張る枯れ木の絵画、天井から出てきて花弁を撒く白い手…というパーツパーツはかなりコワく、また理屈で作ったような匂いの薄い「奇譚」っぽい話で、ちょっと乙な雰囲気だった。…それをぽわあんとした演出で提示するのがこの作品の味わいですなあ。


「思いを傾けたひとに似ている絵画」だというだけで、それを聖骸物のように持ち歩くアヤカシさん。なんか妙に昏いフェチさというか…そのまあ、思い人の死体の一部を持って旅に出る女性のような「耽美なイタさ」があった。それ以外にも部屋中を埋め尽くす桜の絵とか、涯ての知れないような花畑の風景とか、ちょっと「禍々しい」とも言えそうな存在感のあるイメージが多くて、不思議な話だったなあ。


この作品の怪しの者はお面野郎が多いんだけど、今回の人のは「無表情に微笑んだ」ようなお面。クライマックスで思い人と出会う際にそれが外れるのだが、結局素顔は髪に隠れて「我々には」見えない。こういう節度は割と好き。あと、ニャンコ先生が妖精捕まえるのに網持ってくる、ってのはゼルダネタか?


ドルアーガの塔 〜the Sword of URUK〜8話。ジルはニーバとの再会し、パーティはカーヤと再会する。ニーバの視点から「実存的不安」みたいな行動理由が語られるのだが、あまりに内在的なのでジルさん(=ワシら)にはイマイチピンと来ない。それが却って彼の行動の揺るがなさになってんのはなんかリアルで生っぽいな。…ま、キッカケは親父にハブられた(と思っている)ことなのでしょうけどね。


大域的な状況もそんな感じ。塔の内側でも外側でも「何となく」な不穏感がジワジワと覆いつつあるのだけれど、目に見えるような判りやすい目標物が欠けているので、余計にモヤモヤとした曰く言いがたい雰囲気がある。4人(今は3人)の人造人間たちも、当初は「そういう謎の象徴物かな?」てな雰囲気だったが、今や塔内の不穏感の重要な役者として組み込まれてるようだし。…とりあえずチワさんはウラーゴンともっと仲良くなれ、面白いから。


あと、メガネ根谷さんが「バララントにかけて」とか言った? そーか、皇帝の名はバララントなのか。ギルガメスにバララント…どうやら遠藤さんのゲームでもそうらしいが、ひょっとして元ネタ、ボトムズ? 


ソウルイーター48話。余裕と韜晦をもって受けに回る鬼神 vs 本気を出し一気呵成に攻める死神。饒舌でちょっと鬱陶しい会話劇との同時進行バトルであるが、構成自体はとても基本的…ってことで、この段階ではどう見ても死神様に勝ち目はないのでありました、ちう話。


皮一枚向こうの不確定性というシュレディンガー猫を恐怖し、その恐怖の源泉は想像力であると言う鬼神さん。ならば想像せず、目の前の実体のみが全ての世界とすればよい。…確かにそれで強い鬼神さんなのだけれど、わざわざアラクネさんを斃しに戻った辺り、その行動原理もいささか脆弱なトコがあるようで。…ま、ヤられちゃった死神様もこれでシマイとは思えないけれど。


ほぼ全編を占める二人のバトルそのものは思いのほかオーソドックス。でもその演技を堪能できたことは僥倖ではあります。自然体で超然とした古川さん、トボケと本気を不安定に行き来する小山さん、双方ともに濃厚な演技で聞かせ度の高いシーケンスだったかな。