ようこそ女たちの王国へ

●さあて帰宅じゃボーケー。昨日正月の昼間っからの仕事はさっき終了して帰宅であーる。んでもって明日はまた泊まり仕事であーる。盆も正月もあれへんわーい! っきゃー! てことで電車内読書は進むのであり、そういうことだ。


ウェン・スペンサーようこそ女たちの王国へ」読了。ワタシがこの著者の本を読むのは「ティンカー」に続き二作目。どんな話ってまあ、そういう話だ。なんでか知らんが男がやたらめったら少ないっちう異世界が舞台。軍事政治産業という社会基盤は当然ながら女性メイン、希少な男性はほとんど家族所有の宝物でありつまり半分資産扱い。その中にあって箱入り息子の主人公・ジェリンくんがいろいろとヤる話だ。


…一見ただのネタ小説のようだが、実はただならぬネタ小説である。ジェンダー的なアレコレの問題提起やら何やらはその手の人にお任せしてですな、もうアレだ。ここで言いたいのは主役のジェリンだ。健気でオクテで必死で真摯、料理の上手な美形少年。頼れる姉貴や生意気な妹たちの中、テメエのできる事にベストを尽くす彼ではあるが、ここ一番の誘惑にゃ弱い。だってオトコノコだもん! そんな彼がフト助けた赤毛の姫様に惚れられたりしてな! げへへへ! というな!


比較的ソッチ方面の造詣は薄いワタシではあるが、いやあ…ジェリンきゅんかわいいわあ。姫様に下着姿見られちゃったとあわあわしたり、シロップを壜から舐めようとする妹の手をペチンと叩いたり、げへへへへ! これが例えば、男女逆転して普通のシチュであったらここまで微妙な萌えっちい感覚にはならんだろうなあ。当たり前ですけどね。


対する女性サイド、確かに基本的には男の「兄弟」たちの役割を負っているのだけれど、やっぱし娘さん的な雰囲気はあるのよね。駄々のこね方とか強がり方とかが姉妹関係っぽいような気がする。ま、これは訳文日本語の女性的語彙のせいかもしれんけど。…流石にエルデスト(最年長姉さんはこう呼ばれる)辺りになるとおっとこまえの極みであってワシ着いていきたい。漢気に惚れるし頼りになるし、姉貴エエぞがんばれこの行き遅れ。好きだ。


好きなシーンがあってねえ。ジェリンきゅんを巡って王女が「ま、腹割って話そうやないか」と自分の部屋へエルデストを招き入れるシーンだ。王女のレンさん、まず相手にブランデーと上物の葉巻を供してから話に入るのである。うわあ…か、かっちょええ! 漢やでえ!


前に読んだ「ティンカー」でもそのキャラ小説としての力量を遺憾なく発揮していた著者だが、この作品は本当にキャラパゥワーが高い。無論その舞台がガッチリしてればしてるだけそのキャラたちが生きてくるワケであって、西部開拓時代っぽい異世界のディテイルと状況描写は中々に雰囲気。カラリとして開放的な空気感がよろしいな。てことで、むむう、これは続編あってもええん違うか? ついでに日本のアニメ/マンガ好きの著者が喜びそうな表紙絵も健在であるし、もうアニメ化しちゃえ。うん。