メタルマックス・改造人間のココロ

メタルマックス2はよろよろと進む。RPGって久々なので、脳内でそういう楽しみ方の回路が活性化していくのがなんか面白い。フリーシナリオとは言い条ある程度はレベルや敵の強さで流れは規定されてくるのだが、それでも何やらかにやらでごり押しも可能な感じがありますね。…調子乗るとすゥぐ全滅すんですけどね。マニュアルがないので初全滅のときにはどうしたらいいか途方に暮れましたよ。やっと戦車牽引方法に気づいたは良いが「仲間の死体が無い!」と慌てたりね。


このゲームは台詞や小シナリオの雰囲気が独特でよろしい。ドライで即物的だったり、またその反対にやたらと叙情的だったり、とにかく人間臭いんだよな。…OPで全滅した主人公の庇護者仲間の一人で、悪口叩きでチョイいやなヤツが居てましてね。丁度ベルセルクのコルカスみたいな感じの人。んで彼が実は敵に改造手術されて生きていて、主人公を斃そうと一対一の果し合いを望んでくる…てな小クエストがある。


「果し合い」ってのも西部劇風で凄いが、またこの舞台となったムラが良くてねえ。主人公たちがムラ(といっても観光用の白鳥船を改造したもの)に入っていくとものすごい悪感情の嵐。元仲間の人が悪い噂を吹き込んでいたというのも当然あるが、とにかくこのムラは「勝ったヤツが正しい」てな思想が極限まで行き渡ってるのだ。それこそ人格に至るまで、強さだけが評価基準。


元仲間を斃して果し合いから戻ると、ムラの人々は見事に掌を返す。お前こそが正義だ、お前に賭けていたので大儲けだ、あの死んだヤツこそクズのゴミ野郎だった、と。ある男は元仲間をして結局まがい物だったと言い、そしてこう言い添える。「大法螺吹くにしても念が入ってたよな! ヤローの身体は確かに改造してあったもんなァ!」


敵に殺され身体改造され、他の選択肢もなく半ば狂気半ば諦念とともに元仲間に襲い掛かり、そしてもう一度殺される。その彼に送られる最後の言葉がこれだ。良いヤツも悪いヤツもいるが誰一人間違っちゃいない、そういう世界なのだから仕方ない。間抜けで巨大な白鳥の建造物とその住人達は、確かに彼の墓標としてよく似合っている。素晴らし過ぎて涙も出ねェ。


…ここで彼の死体をDr.ミンチに復活してもらったらずっこけるやろなあ。