獣神演武/おお振り/ガンダム00/電脳コイル

●新番組・獣神演武。詳細は知らず、荒川弘原作のアニメ化…なのかな。武侠小説っぽい世界のファンタジーで、主人公がエクスカリバー抜いたら八犬士というかサイオニクス戦士というか、そんな人たちが各地で反応する話。まず冒頭のアクションが、アクロバチックな軽快さ→能力発動後の超人バトル、というメリハリが利いてて良いツカミだったかな。


割と横道な少年マンガ構造の作品で、それは細かいとこがずいぶん簡略化されてるってことでもある。例えば冒頭に数十人ほど僧が惨殺されるんだけど、その死の描写はいかにも軽い。ワシら視聴者は初見なので彼らに感情移入のしようもないが、彼らを家族とも思っていた主人公たちの反応はちと表層的に思える。陰湿な攻撃を仕掛けてくる二又一成も、このキャラならもうちょっとダークなデザインにしそうなんだけど、そこそこシュッとした風体になってるし。


これは気が回ってないのではなくて「そこは重くしない」って判断なのだろう。そこが少年向けっぽい雰囲気なのだけれど、だとすると深夜4時放映ってのはどんなもんかな、てな気はする。んー、色々と面倒な事情でもあったのでしょうかね。とりあえず様子見かな。


おおきく振りかぶって24話。決着。西浦は勝ち、桐青は負ける。桐青キャプテンはお守りに込められた思いを胸にしまい、泣き崩れる投手をねぎらう。「力足らなくてごめんな。お前を上手く投げさせてやりたかった」。勝利祈願の千羽鶴を西浦に託し、彼らは舞台から去ってゆく。


…美しいねえ。敗者にはドラマがあるねえ。この美しさは確かに一般的な勝負事においては甘いかもしれない。しかし彼らにとってはそうではない。若さと純粋さはそれを真実にする。そういう世界のお話である。それにしてもここでお守りの声はずるいよな。そらグッと来るっちうねん。


土壇場でまたもや恐さと意欲の板ばさみに遭う三橋さん。心折れそうな時に仲間から声を浴び、それまで小さく遠かった捕手までの距離が霧消し、阿部さんの顔が見えるようになる…というシーンが良かった。やはり最後まで三橋さんが主役であったのだな。彼が他者、特に阿部さんとの間に感じる距離が物語の幹だったのだ。まずは皆が「怒っていない」ことを知ったが、さて、それだけじゃダメですよ。…って、もうじき終わりなのかあ。うーん。


機動戦士ガンダム00・2話。アバンでこの世界の概説。一話の後のこのタイミングで状況説明ってのは良いな。軌道エレベータの権益を巡って三つ巴の世界ですよ、ってことらしい。ゼロサムゲームの戦争という概念は判りやすいが、てことは最終的にフリーエネルギーでも見つかって非ゼロサムになってめでたし々々、というオチかしら。


今回はシンハラ対タミルの一大紛争、という妙に生臭ーい設定のお話。スリランカ軌道エレベータとなるとどうしてもアーサー・C・クラークだけど、この設定には泣くやろね。しかしやっぱワタシは、こっちの直立戦車みたいな野暮ったいロボ(とその戦い)の方に愛着してしまうなあ。ガンダムスパロボ加減を引き立たせるためとは言え、またこのドン臭い描写も上手いんだよね。エエなあ、あの顔の見えない操縦者とか。あと作動音とか。


物語の構造と状況を絵で見せて納得させたあとで、すかさず謎のライバルを登場させてヒキにする、とかのあざとさも上々。うん、今んとこ楽しんで見てますよ。


電脳コイル20話。危機一髪のヤサコとフミエを救ったのはオババとオバサンのオバコンビである。ハラケンを救わねばならないオバサンであり、その理由にはまだ奥がある。「あの」大事件を繰り返してはならない。自分で始末をつけねばならない。でも、ヤサコにだって理由はあるんです。だって私は彼が好きなんです。…という。


「声が聞こえる」ヤサコさんが、他ならぬカンナの心の声をハラケンに伝えなければならないシーンは良かったなあ。緊張感もある上にほろ苦い悲しさもある。悲しかった、嬉しかった、楽しかった、…好きだった。もう自分を責めないで。ストレートな物言いがこの場では効果的。ハラケンが消える瞬間に思いを伝えるヤサコ見て、うわあ帰還できないフラグが立った! とか思っちゃった。帰ってこれて良かったね。


作画はいつにも増して気合の入った仕種とレイアウトで満載。細かくてかつダイナミックな動かし方は割とドキドキする。CGメインのドローン大空中戦も良かったです。…あと、ヤサコの過去記憶絵で出てきたつぶれた自転車はやっぱ、イジメの結果か?