パプリカ

●レンタル屋の更新に行く。一本サーヴィスってことで何を借りようかと思い、硫黄島/トゥモローワールド/カジノロワイヤル/パプリカ/時かけ、辺りで迷う。結局「一番TVの洋画劇場でやってくれなさそうな作品」ってとこでパプリカを借りた。時かけはすぐやるらしいしね。…あ、ICEは見当たりませんでした。見当たっても借りなかったとは思いますが。


●パプリカ感想。原作を読んだのはもう大概前なので、それと比較してどうってのはよく判らない。が、これは明らかに「今敏作品」であって筒井テイストではないな。筒井作品とするにはそのう、あまりにも破綻が少ないというか抑制されているというか。画面上どの要素にも明確なメタファーが設定されてそうな「カッチリ感」がある。いや別にされててもエエのだけど、その表出加減にソツが無いのよね。それが「夢」っぽさの匂いを少し減じているように感じた。夢的雰囲気なら「マインドゲーム」の方がはるかに豊穣だったな。…あれは夢というより彼岸の世界だけど。


てことで、かなり立ち位置の微妙な作品だなあと思った。若者の憧れとなるでもなく、大人が回顧的感情をいだくでもなく、てなサジタリウス主題歌的作品。こら売れんわなあ。「売れない」ってのはおもんないってこっちゃなくて、そういう特定層の熱狂的支持からはほど遠い冷静な作品だった、ってこってすね。好きか嫌いかで言うとむっちゃ好きなんですけど…ってワシが熱狂してんのか?


「売れない」つながりで言うとこのアニメ、昨今では珍しい「プロ声優偏重作品」なのよね。異業種からは前作から引継ぎの江守徹一人だけ。…いやまあ、筒井と今のコンビも出てくるけどそれは置いといて。林原めぐみ大塚明夫山寺宏一堀勝之祐古谷徹がメインだぜ。なんか「ぼくがかんがえたさいきょうキャスト」みたいだ。


流石にこの声優面子となると安定感はとんでもなさすぎる。それがまた「夢」としてのブレの無さに寄与してそうな気もするがそれはまあいいや。林原さんはほぼベストの仕事だろうと思うが、それでも(以前感じた通り)敦子モードの声としてはちょっと可愛すぎたな。それこそ田中敦子でどうだとは思うが、それだとパプリカモードが辛い…か? 山寺宏一は最近あんまりやらしてもらえないタイプの熱演シーンがあってエエ感じ。山寺さんはこのあたりのポジションが一番合ってるようなイメージがあるんだけど、どうか。


画面的には至上の作画アニメであるのは間違いない。原画スタッフは少数精鋭の権化みたいな布陣でした。どこをとってもアラの無い作画状況だけど、今敏らしさあふれる作風ではあるので好き嫌いはありそう。とりあえず微妙な表情の上手さはちとため息が出た。


てことで充分満足、しかし確かに大ヒットはせんやろなあ、ってとこ。あーあと、ワシのPS2が悪いんだろうけど、二箇所どうしても再生不可のとこがあって難儀した。キズでもあったのだろうか。返却時に言うといたらなあかんな。