妖奇士/あさっての方向。

天保異聞 妖奇士17話。山の民やら機の民やら、それら漂泊者をマレビトとしてまつりあげんとする一派、である。なんだか民俗学なお話になってきたが、カラクリ人たちもそこに入っちゃうのはちょっと面白いような気はするな。確かに「遊芸稼ぎ人」としての芸人さんと同根みたいなもんか。


いかな高尚な思想をぶち上げようが結局は「妖異の肉うめぇ」に帰結してしまう浅ましさ。こういった二面性はずっとこの作品に通底してるテーマではありますな。そこに自覚的である分だけ、妖奇士の人たちの方が見えてる世界が広いのだろう。今回は三木眞一郎の人ですな。目の据わった相手を猿芝居でやり過ごせるくらいに冷静だったわけだ。…なんかこの人もギャグキャラ光線の餌食になってますが…。


ホンマは小山力也の人が今回の主役の筈だけど、感情が先走っちゃってるので少々グダグダっぽい感じであんまいいとこなし。次回はキッチリ見せ場を用意してくれるのかな。


あさっての方向。10話。一途で一本気なテツマサさんに、からださんは応えることができないのである。それは言っても判ってもらえない辛さであり、できることといえばただ枕元にての付き添いのみ。あーなんかもう、判りやすいなあ。


図らずも(ってかちょっとご都合主義にも)交わってしまった二人の世界だが、両者の非対称性が緊張感を生んでてよろしですな。今後この状況がどうひっくり返っちゃうのかが見所なんでしょうが、そこに至るまでの積み重ねエピソードとしての今回もなかなか丁寧であった。回想シーンと地続きになった「秘密です」の言葉や、やっぱり相手についていってしまうからださんの行動とかね。


さりげないエピソードだが、小清水娘とペンション先生の会話がなんか良かった。お父さんは息災かと訊かれて「多分」とだけ言う小清水さんと、それをまるのまま受けて「そりゃ良かった」と返す先生。良い関係やね。あと、出てくる料理がいかにも「ペンションですよー」って感じでニヤけるなあ。なんか白身魚の香草焼きとかさ。