異形への偏執
●のび太の恐竜を再見する。うーん、何故か好きだ。色々と気に入った理由を考えてみるにやっぱあの絵だな。いやその、超絶作画という要素だけじゃなくてさらに一つメタな部分、「この作画方針を採用している」というそれ自体がワタシが好きになりやすい要素なんだろうなと思った。
別に深く考えるまでもなく、「ドラえもん映画」という子供向けかつ保守性の高そうなコンテンツにとって、あの作画方針はいびつである。本来、カッチリとした作画設計によって作られてしかるべき所なんだよな。ハッキリ言って作画部分だけ作品から妙に浮いているのだ。
じゃけどそこが良かったようだ。異形であるからこそ好き度合いが高くなったようだ。
なんかアレじゃん? オタな人って、作品のちょっとバランスの悪い部分を取っ掛かりとして見ていく傾向があるじゃん? 少なくともワシはそうだし、またそこをヘソにして他者に語ることも多い。全方位に優等生的な作品より、どっかデコボコのある作品の方が印象に残りやすいのだよな。
こないだドラクエの8を終え、とても良く出来たゲームで好きになったのだけれど、これを他者に薦めるなり語るなりってのはちょーっと難しい。隙が無さすぎるのよね。それよりもシレンシリーズを語る方が百倍楽だ。すぐ死ぬとか、レベルチャラとか、でも普通のローグライクよりは甘いのだとか、取っ掛かりとしての異形部分がそこここにあるから。ねえ。
…無論アレだ、全方位的な良作を作るってのは一点突破型の突き抜け作品を作るよりも、遥かにエネルギーやテクニックが要る作業だと思う。だから逆にワタシのようなヒネオタは本来、ちゃんと正統派作品を語る舌を鍛えとくべきなんだよね。多分。
でもま、それが仕事じゃないから別にいーや。てことで異形な作品としてドラ映画が好きになりましたのよ、ってそんだけ。以上。
結界師
●結界師18話。アークの合間の箸休め、弟さんから見たダメ兄さんという息抜き話でご一席。初めの諦観が条件付き尊敬に変わる、という定番譚ではあるのだけれど、個人的にはもうちょっとだけカッチリと作劇して欲しかった気がせんでもない。モノローグの入れ方が微妙に散漫だし、いつもとあんまし空気感が変わんなかったのな。折角の弟さん主役回なのにな。
…とまあそういうイチャモンは置いといてですな、利守さんの「良く気の回るデキた子だけどまだまだ小学生で頼んないとこもありまっせ」というショタい雰囲気はよォ出てたのじゃないでしょうか。覚えず結界を使っちゃったので不安で泣いちゃうシーンとかね。そういうのを賞玩する回ってこってすね。そうですね。
悪友ガキ二人に田中真弓と津村まこと。ご両人とも少年演技はお手のものだけど、しかし真弓姐さんはホンマ出ずっぱりやなあ。高価いギャラ払ってんだし使えるだけ使い倒しまっせェ、ってヤツ?