アカギ/プレイボール/カペタ

●アカギ19話。前回の大ハッタリはさてどう転ぶかってェと、単純なバレたバレなかったの展開にならないのが流石だなあ。鷲津はハッタリを「別の観点から」破りかけつつ、また「別の観点から」思い直して見事に引っかかる。


アカギの能力は超人的な洞察力に加えて「それを躊躇いなく行使できること」であるが、それを思い知るに充分なおっそろしい綱渡りですな。鷲津は呟く。「この狂人がっ…!」


さらにそれを押し進め、抜かれた血液を取り戻せる機会をことごとく蹴ってまでカネを取るアカギ。「カネだ。今は守銭奴の如くカネ!」。こんな台詞は福本以外に紡げまいなあ。おのれのピンチまでもエサとして使うアカギ、文字通り血を流しつつの綱渡りは続く…。ああ、もうフツーにわくわくしますぞ?


●プレイボール7話。5点を追う墨高はなかなかに苦しい。しかし一方、敵の主将も焦っている。ははあ、多分コイツが却って穴となるんだな? と思ったが…。


今までイヤらしく立振舞ってきた敵キャプテン、その行動を一瞬で「ああ、ヤツも健気なんやなあ」に引っくり返す演出にヤられた。あんなけ卑怯なワザを使っておいて、最後の最後でお互いの全力を尽くしたぶつかり合いに持ってくる流れ。…おーゥ、青春よのう。ええのう。


状況を見て土壇場でのスリーバント策とか、「何としてでも俺に繋いでくれ!」の台詞とか、谷口の頼りがいったらもう別格やね。あと今回は、ドズンとマウンドに立つ足とか、ぐっとバッターボックスを踏みしめる足とか、とにかく「足」の芝居が真摯だったように思う。


カペタ21話。仕事おっぽりだしてアホボンのパーチーに誘われる御一統。アホボン久々、さてどう成長したかな…って一緒やな。子供時と声まで一緒なのコイツだけ違うか?


金持ちアホボンのレース薀蓄講座。ははあ今回は他愛無いコメディで箸休めですか…と思ったら、何でやんしょこの…、一種愛情にも似たアホボンの思いは。「キミが何故悩んでるのかは知らないが、そう、キミに似合うのはその笑顔だよ」。何故そないカペタに肩入れすんのかよォ判らんが、とにかくその、心意気は伝わったぞアホボン。…モテモテやなカペタ。いろんな男に。


えーと…でも確か、タイレル(この時期のはティレルとは言いたくないねえ)のP34、6輪による抵抗減少は大した事なかったと聞いたなあ? 結局ブレーキング能力で勝っちゃった、とか。…違いましたっけ?


さかさま文字。妙なギアが入っちゃったので、また描いてみた。CAPETA、と読んであげて下さい。読めなくても読んであげて下さい。優しく。


もし星が神ならば

●G・ベンフォード/G・エクランド「もし星が神ならば」読了。ベンフォードはともかく、エクランドって方の作品は読んだこと無いなあ。解説読むと、ベンさんが科学・ハード面担当、エクさんが作劇・ソフト面担当みたい。確かに、他のベンたんの作品と比べるとヒューマン(?)ドラマ寄りのような気もする。


一応長編という体裁はとってるけど、実際はある程度独立した短編の寄り合い所帯ってとこですね。主人公は同一で、彼の生涯を時系列順に描き出す。「キリンヤガ」みたいな構成かなあ。内容や手触りは全然違うけど。


ファースト・コンタクトの話ではあるんですが、主眼はあんましそこには無い。じゃメインは主人公と宇宙との関わりかってェとまあそうなんだけど、それ以前に印象に残るのは人間同士ゴッチャゴチャの権力抗争。まあとにかく、どいつもこいつもヤなキャラばっかしで楽しくなる。


底意地の悪い遺伝子天才娘、ゴリゴリレイシストのナンバー2、命令しか喋らない基地指令…とまあ、なかなかバラエティに富んだイヤキャラ連。大体主人公にしてからが、若い頃は権力指向でジジイになったら徘徊老人。もう大変である。


でもその、元が一つ二つの短編でそれを膨らませたカタチの作品なので、短編同士の間の「シリーズ構成」がちと弱いかな。そのくせ世界観が小さい感じは否めない。主人公が「作品で書かれてること以外の時代はどう過ごしていたか」という想像の余地があまし無いんだよな。


ま、でもなかなかおもろござった。おっと、無論人間関係以外のSF的要素もよォ出来てますよ? 特にエピローグの「色んな感情が溢れ出てくる感」は大したもんでした。